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2022年1月18日(火)

施政方針演説

「新しい日本」は見えない

 岸田文雄首相の施政方針演説を聞いても、明るい日本の未来像は見えませんでした。岸田首相は「コロナ後の新しい日本を創り上げていこう」と呼びかけ、その柱として「新しい資本主義」「新時代リアリズム外交」を掲げました。しかし、そのどちらも新味はなく、これまでの自民党政治がもたらした弊害の根本を打開するものになっていません。そればかりか、この両看板を掲げる岸田首相の向かう先は、国民の命と暮らしを脅かす道にすぎない―この思いがいっそう深まりました。

 日本経済は、安倍・菅政治をはじめ歴代自民党政権から続く新自由主義路線で、雇用破壊による賃下げ、社会保障の切り捨て、消費税増税などによって国民の購買力を奪い、いつまでたっても経済成長できないジレンマに陥っています。

 外交・安全保障では、北朝鮮や中国といった隣国に、日米同盟を基軸にした抑止力強化のみで対抗しようとしてきたことが軍事対軍事の悪循環を招いて、東アジアにいっそうの緊張をもたらす結果となっています。

 岸田首相が「この国の未来を拓(ひら)く」というなら、この二つの弊害にきちんと向き合うことが必要です。

 ところが、岸田首相は「市場に任せれば全てがうまくいくという、新自由主義的な考え方が生んだ、さまざまな弊害を乗り越え」と言いながら、肝心の弊害の根本にはメスを入れようとしません。そればかりか、「経済安全保障」などと称して、新たな大企業支援に乗り出すなど経済の“ゆがみ”をさらに広げようとしています。

 また、岸田首相は「いわゆる『敵基地攻撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」として、自衛隊の「打撃力」強化に踏み出そうとしています。しかし、その行きつく先は、互いに相手国のせん滅を目指す「全面戦争」になりかねません。経済など密接なつながりを持つ東アジアで、「全面戦争」が勃発すれば、いずれの国も生きるすべはなく、破滅が待っています。

 「自己責任がはびこる冷たい社会」「軍事的緊張から抜け出せない社会」―。こうした社会に、新型コロナウイルスとのたたかいが加わって、多くの国民が不安を抱え、もがき、苦しんでいます。

 岸田首相は「信頼と共感」を掲げ、「国民の声なき声に、丁寧に耳を傾ければ、そして国民とともに歩めば、おのずと改革の道は見えてくる」といいました。ならば、日本共産党をはじめとする野党の主張に大いに耳を傾け、明るい日本の未来につながるための国会論戦にする責任があります。

 (国会取材団キャップ 佐藤高志)


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