2022年1月16日(日)
米学生ローン帳消し和解
大手社と各州 利用者約6万人の債務
【ワシントン=島田峰隆】米国の学生ローン大手ナビエント社がローン利用者に高利子の返済計画を選ばせて巨額の利益を上げていたとして各州の司法長官が起こしていた訴訟で、各州と同社は13日、ナビエント社が全米の6万6000人に対し約17億ドル(約1940億円)の債務を帳消しにすることで和解しました。
米国では4500万人を超える国民が総額1兆7000億ドル(約194兆円)以上の学生ローンを抱えています。返済できず破産する人が後を絶たず、大きな社会問題となっています。帳消しを求める草の根の運動もあります。
一昨年の大統領選挙では、学生ローンの問題が争点に浮上。民主党では、サンダース候補がローンの帳消しを公約に掲げました。バイデン大統領は帳消しを掲げなかったものの、昨年1月の就任後、大統領令で返済猶予を実施。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を受けて、これまで2回、措置を延長しています。
訴訟を起こしていたのは約40州と首都ワシントンの司法長官。そのうち、南部バージニア州のヘリング司法長官は13日、声明で「詐欺的な手法や略奪的な貸し付けを行う学生ローン会社は、ローンを利用して一生懸命働く人々の弱みにつけこんできた責任を取らねばならない」と強調しました。
ナビエント社は、返済に行き詰まった学生ローン利用者に対し、収入に応じた低額の返済計画ではなく、利子が増え続ける返済保留措置を利用するよう誘導したとされます。各州の主張によると、同社は2010年1月~15年3月に40億ドル(約4560億円)以上も利子を得ていました。
ナビエント社は、違法な行為はなく、各州の主張は根拠がないとしています。13日の声明では和解について「法廷でのこれ以上の費用や時間を避ける」ためだとしました。