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2022年1月15日(土)

痴漢から受験生守れ

市民と共産党が連携

きょうから共通テスト

駅で加害防ぐアナウンス

 「試験当日の朝は痴漢が捗(はかど)るってマジ?」―受験生への性加害を促す投稿が、ネット上に流れています。試験に遅刻できず、被害を訴えにくい日をねらう卑劣な性犯罪です。15日から始まる大学入学共通テスト(16日まで)。根絶と対策を求める動きが広がっています。(林直子)


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(写真)痴漢撲滅をよびかけるポスター=東京都内

 「数年前から、ネット上の『遊び』として問題になっています。実際に痴漢しなくても、性暴力を恐れる女性などに不安を与えることを楽しむこと自体悪質な『遊び』で、許しがたい性差別行為です」。ジェンダー差別問題に詳しい太田啓子弁護士は、「受験の日なら声をあげづらいだろうという、悪質な犯罪扇動」と指摘します。

■性的事件で最多

 2019年の『犯罪白書』によると、痴漢件数は性的事件の中で最多。警視庁の20年のデータで、東京都の痴漢の発生場所は「電車」「駅構内」が半分以上を占めます。

 兵庫県神戸市の吉田薫さん(仮名)は今年1月、神戸市交通局や関西の鉄道各社に、受験日の痴漢対策を申し入れました。

 自身もかつて、仕事の成果発表日の朝、電車内で被害にあいました。加害者を捕まえ逮捕にこぎつけたものの、警察の取り調べで再現させられ傷付きました。解放されたのは5時間後。ボロボロの気持ちで挑んだ発表は、酷評されました。

 その後も何度も被害にあいますが、我慢しています。「時間や手間があんなにかかるとは。仕事の関係者への迷惑を考えたら、もう声を上げられません。受験生をねらうなんて本当に許せない」

 ジェンダー差別を学ぶ中で、日本共産党東京都委員会の痴漢被害アンケートを知り、参考にして申し入れ文を書きました。「昨年末に小池晃(書記局長)さんが初めて国会で痴漢対策を取り上げた。それも画期的でした」

 同席した共産党の喜田結兵庫県議が、申し入れの内容をツイッターで発信。作家のアルテイシアさん、助産師のシオリーヌさんなどがツイートを拡散し、1万件以上広がりました。

 申し入れ後、阪神電鉄・市営地下鉄は「痴漢、盗撮は悪質な犯罪」など加害を防ぐアナウンスを流すと決めました。吉田さんは「加害者はホームで物色し被害者の近くに乗り込むそうです。アナウンスは効果的だと思う。全国の鉄道で対策してほしい」と語ります。

■行政の姿勢変化

 党東京都議団は13日、都に対し、受験期の痴漢対策強化を申し入れました。▽公共交通での痴漢防止アナウンス▽被害証明書の発行▽受験機会の保障などを求めています。

 痴漢被害アンケートに基づき昨年2月に痴漢対策の質問をした米倉春奈都議は「都の認識は変化しつつある」といいます。「今回は具体的な対策について、都営地下鉄を管轄する交通局部長が『持ち帰って検討する』と答え、その日のうちに交通局のツイッターから痴漢を許さない発信をしました」。都営地下鉄は昨年12月、痴漢を防ぐアナウンスも始めています。

■国が実態調査へ

 若者の声を政治に届けようと活動する「日本若者協議会」は昨年、痴漢対策を求めるネット署名を行いました。2万8千人を超える署名をもとに、省庁や政党に要請。内閣府は痴漢の実態調査の準備を進めています。

 「車内での防犯カメラの設置や学校に遅刻した場合不利益にならないルール作りなど、行政ができることはたくさんある」と室橋祐貴代表は話します。「政府一丸となって痴漢対策を進めてほしい」


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