2022年1月15日(土)
英首相 コロナ制限下パーティー出席認める
与野党から辞任要求
新型コロナウイルス対策で英全土が都市封鎖措置(ロックダウン)下に置かれていた一昨年5月に、英首相官邸でパーティーが開かれた問題で、ジョンソン首相は12日、下院でパーティーへの参加を認め「心からの謝罪」 を表明しました。メディアは「国民の怒りを鎮めるのに、ほとんど効果がなかった」(民放スカイニューズ)と厳しい目を向けており、野党や与党内から辞任要求が高まっています。(桑野白馬)
問題のパーティーは2020年5月、ロンドンの首相官邸の庭で行われ、職員30~40人が参加。英メディアが暴露した首相秘書の招待メールは、約100人に送られ、「アルコール持参」を呼びかけていました。
ジョンソン氏は、その場に25分間いたと認めましたが、パーティーではなく「仕事のイベントだと思っていた」と釈明。感染防止の規則違反はなかったとして、辞任は拒否しました。
労働党のスターマー党首は質疑で、ジョンソン氏の釈明は「ばかげており、国民への侮辱だ」と批判し、辞任を迫りました。
保守党からも辞任要求が噴出しており、公務行政を管轄する下院委員会のウィリアム・ラグ委員長はメディアに対し、首相の立場は「弁護できない」として、進行中の独立調査の結果が出る前に辞任すべきだ、と発言。スコットランド保守党のダグラス・ロス党首は、「政府がルールを作った。首相は(ルールを破った)自らの行動の責任を取らなければならない」と述べました。
英国では20年5月当時、レストラン、パブ、生活必需品以外の商店はすべて閉鎖、市民の外出は「妥当な理由」がある場合以外は禁止という厳しい規則が敷かれていました。家族以外の人と会うのは屋外で社会的距離を取って1人だけ認められるとされており、肉親の死に目に会えないといった悲劇を多くの国民が体験しました。それだけに、首相の振る舞いと、それをごまかしてきた不誠実な態度に強い批判が出ています。
英紙インディペンデントは、首相官邸でパーティーが行われた同じ週に、800人以上が警察から感染防止規則違反で罰金を科されていたと報道。13日発表のユーガブ社の世論調査では、首相官邸で禁止されていたイベントが開かれていた場合に、警察が捜査すべきかとの問いに、78%が「捜査すべき」と回答しています。
首相官邸では、行動制限措置が導入されている最中の20年末にもクリスマスパーティーが催された疑いがあるなど、複数の規則違反疑惑が明らかになっています。