2022年1月4日(火)
年越し大人食堂 100メートルの列
失業1年「娘におむつ」 寒い部屋「寝袋欲しい」
@東京・千代田
コロナ禍に仕事を失うなど、生活に困っている人を支援する「年越し大人(おとな)食堂」が3日、東京都千代田区の聖イグナチオ教会で開かれました。新型コロナ災害緊急アクションや反貧困ネットワークなどの複数の団体が主催し、12月30日に続いて2回目の開催。406人が訪れました。来訪者は前回や昨年5月より増加したといいます。
大人食堂では、手作りの弁当や食品の詰め合わせ、生理用品や紙おむつも用意。医療・生活相談も受け付けていました。厳しい寒さにもかかわらず行列は約100メートルにもなっていました。
「カイロももらえて助かるし、ミカンもうれしい」と笑顔で話すのは新宿区から歩いてきた女性(72)。夫が2年前に亡くなってから、昼はデパートで野菜の加工、夜はホテルで清掃のダブルワークをしています。コロナの影響で昨年11月以降、ホテルの仕事はほとんどなくなりました。
「とにかく生活を切り詰めた。一番は光熱費」と声を落とし、「昼の仕事だけで生活できるように国には対策を取ってほしい」と話しました。
両手に食品の袋と幼児用紙おむつ、大きなリュックサックを背負った男性(52)=新宿区=は、失業して1年。「すごくありがたい」と話す男性は妻と1歳半の娘、小学5年生の息子の4人家族です。IT系の会社に勤めていましたが、コロナの影響で倒産。男性は「なんとか自分の力で立ち上がりたい」と話しました。
主催団体の一つ「つくろい東京ファンド」の佐々木大志郎(だいしろう)さんは「中高年の相談者は相変わらず多いが、子ども連れの女性や若者など相談者の若返りが顕著」とコロナ禍の特徴を指摘します。
学生や国会議員、NPO職員らがボランティアに参加しました。
はり灸の支援も
@池袋
路上生活者らの生活全般を支援するNPO法人「TENOHASI(てのはし)」は、新年を迎えた2日も、東京都豊島区の東池袋中央公園で生活・医療相談や寝袋、食料配布、はり・灸(きゅう)などの活動に取り組みました。
寝袋を受け取りにきた女性(77)は「部屋はせまく、自分の布団しかない。誰かを泊めてあげたくても、ふとんがなく、それができなかった」といいます。「年金はわずかな国民年金しかない」といい、「年末年始は、あちこちの炊き出し場所を回って過ごしている」と話しました。
同じく寝袋を求め、訪ねてきた新宿区の男性(74)は「部屋が古く、すきま風がひどい。毛布を3枚掛けても寒い。だから、寝袋が必要」と語ります。年末年始は友人宅に泊めてもらったといい、「もう少しまともな部屋に住みたいが、生活保護を受けている中、それも難しい」と語りました。
はりと灸を受けた江東区の女性(61)は「遺族年金を受けているが、受給金額の関係で生活保護は利用できない。結果として医療費がかかっている。歯が悪く歯医者にかかりたいが、そこまでお金が出せない。制度のはざまで困っている人もいる」と訴えます。はりと灸を受け「手術した手にしびれがあったが、それがかなりおさまった。もっとこういう機会がほしい」と話しました。
はり・灸のボランティアスタッフの男性(72)は「コロナ禍以降は、若い人も医療が受けられず、はり、灸を受けています。以前はなかったことです。制度のはざまにある人をちゃんと守る制度も必要です」と語りました。