2022年1月4日(火)
沖縄復帰50年
辺野古たたかい 正念場
基地なき願い実現へ
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沖縄の本土復帰から50年となる今年。名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐるたたかいは重大局面を迎えます。昨年11月、玉城デニー知事が軟弱地盤の改良に伴う設計変更申請を不承認にし、岸田政権も対抗措置に踏み切りました。23日投票の名護市長選や、秋の県知事選をにらんだ正面対決です。
本紙は昨年末、ドローン規制法に従い、米軍の許可を得て、辺野古新基地の工事現場を小型無人機で撮影しました。埋め立て区域の南側(辺野古側)は既に陸地化され、埋め立て区域の北側(大浦湾側)には2本の護岸(K8、N2護岸)が延びています。さらに、土砂を積んだ無数の作業船がうごめいています。
しかし、広大な軟弱地盤が広がる大浦湾側は、まだ土砂投入が行われておらず、青く美しい海、巨大なサンゴ群が息づいています。防衛省沖縄防衛局によれば、昨年11月末時点で、投入された土砂は総量の8・3%にすぎません。辺野古側も、まだ3分の1程度。かさ上げのため、さらなる土砂投入が必要です。軟弱地盤は深さ90メートルまで達し、現在の技術で地盤改良が可能なのは最大70メートルまで。「この基地は完成しない」。デニー知事は断じました。
「基地のない平和な沖縄」を願って復帰した沖縄県民は、その後も「基地の島」の住民であることを強いられました。辺野古のたたかいが、50年前の願いを実現する大きな一歩となります。
沖縄の選挙勝利が政権追いつめる力
辺野古新基地を許さない―工事現場では、辺野古ゲート前や土砂投入が続いている海上、埋め立て土砂が搬出される名護市安和などで、市民らによる粘り強い抗議行動が続いています。新型コロナウイルスの感染拡大による行動参加の制限という困難がありますが、2014年以来続く、辺野古ゲート前の座り込みは今年、3000日を超える見込みです。
辺野古への土砂投入から3年たっても、必要土量の約8%にとどまっているのは、こうしたたたかいがあるからこそです。
重要選挙が相次ぐ
また、今年は9月の県知事選を軸として、重要選挙が相次ぎます(表)。これら一つひとつで「オール沖縄」や日本共産党が勝利・前進することが、岸田政権を追いつめる決定的な力になります。
中でも、23日投開票の名護市長選での「オール沖縄」岸本ようへい予定候補の勝利が決定的です。岸本氏は「子や孫の未来、市の未来を守るため新基地建設は認めない」と表明。対する自公市政の現市長は新基地をめぐる国と県の司法での争いの推移を「見守りたい」と無責任な姿勢に終始。今日も続く、土砂投入による辺野古の貴重な自然の破壊を黙認しています。
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デニー県政継続を
玉城デニー知事は昨年11月、防衛省沖縄防衛局が提出した、軟弱地盤の改良に伴う設計変更申請を不承認とし、新基地阻止へ不退転の決意を示しました。
国は行政から私人の権利を守ることを趣旨とした行政不服審査法を悪用し、昨年12月、沖縄防衛局が国土交通相に不服審査を請求。これまでの事例を見ると、数カ月で裁決が下されるとみられます。防衛局の言い分を認める不当裁決になることが既定路線。県は総務省の第三者委員会「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ることが想定されます。審査の期間や内容は予断を許しませんが、不当な審査結果となった場合、県は提訴に踏み切るとみられます。
こうした、行政・司法の場でのたたかいも重要な局面を迎えるさなかに、9月の県知事選が行われます。
国は行政不服審査法や地方自治法など、あらゆる法規の解釈をねじまげてきました。それだけでなく、司法も動員して県に襲いかかってきました。
しかし、昨年7月、辺野古のサンゴ移植をめぐる訴訟で県は敗訴したものの、最高裁小法廷の裁判官5人中2人が県の訴えを支持。道理を尽くした県の訴えは、司法にも影響を与えつつあります。また、裁判は相当の時間がかかることも予想されます。
だからこそ、岸田政権にとって県政を奪還して国言いなりの知事を誕生させることが至上命令であり、逆にデニー県政の継続は新基地阻止の決定的な力となります。
野党共闘の前進も
昨年の総選挙では、野党共通政策に、初めて「辺野古新基地建設の中止」が盛り込まれました。今年の参院選でも、沖縄県選出の「オール沖縄」イハ洋一議員の再選を勝ち取るとともに、野党共闘を前進させることも、辺野古のたたかいにとって大きな力となります。
沖縄県の主な選挙
1月23日 名護市長選、南城市長選
2月27日 石垣市長選
4月 沖縄市長選
7月 参院選(オール沖縄・イハ洋一氏再選へ)
9月 統一地方選
県知事選
宜野湾市長選
10月 豊見城市長選
11月 那覇市長選