2021年12月28日(火)
英検日程変更 娘が受験できず
父親 告発
返金も繰り越しもなし
「英検の試験日程が変更されて受験できなくなったのに、検定料の返金も次回への繰り越しも認められなかった」と、兵庫県の中山聡さん=仮名=から本紙に訴えがありました。
2020年4月16日、中山さんの娘(当時中3)は同年度第1回英検(実用英語技能検定)準1級を申し込み、検定料8400円を納付。1次試験は5月31日、2次は6月28日の予定でした。
一方、新型コロナ感染拡大で4月7日に兵庫県など7都府県に緊急事態宣言が発令され、同16日に全国に拡大。公益財団法人・日本英語検定協会は同24日、1次試験を6月28日、2次を8月23日に変更するとホームページ(HP)で発表しました。
申し込んだ後の日程変更。娘は1次に合格しましたが、2次は3月から決まっていた塾の模試と日時が重なっていて、受けられませんでした。
「次も払えとは」
中山さんは1次合格後、英検協会に(1)2次試験の時間変更(2)検定料の返金(3)次回検定料免除(検定料繰り越し)―のいずれかの措置を求めましたが、協会側は全て拒否。検定料は返金しないと受験規約で定めているとして、次回、2次試験だけ受ける場合も新たに8400円が必要と答えたといいます。
「怒りがこみ上げた。学校に勧められた試験なのにお金は返らず、次も払えとは」
この日程変更をめぐる検定料の問題にどう対応したかなど本紙の取材に、協会は回答を拒否しています。
日本漢字能力検定(漢検)やTOEICは同時期の試験を中止し、検定料は返金・繰り越しに。英検には当時、ツイッターに「TOEICは受験料を全額返還。英検は勝手に振替日を決められ、来られない人は返金ゼロ…公益財団法人とは思えない塩対応」「受験料を取るだけ取ってこれだよ」「検定料巻き上げてからの~規約を盾に返金しない!次の受験の検定料免除?ないよ!プギャー」と多くの批判が集まりました。
検定料返還提訴
こうしたもとで英検協会は感染第3波のことし1月、同24日の20年度第3回検定1次試験で、首都圏の4・5級試験を3月21日に変更し、その日都合が悪い受験者は次回検定料免除の措置に踏み切りました。協会は「感染が危機的など特殊な事情を鑑み、特別な判断だった」としています。
中山さんは20年9月、英検協会に検定料8400円の返還を求め簡易裁判所に提訴し、現在、神戸地方裁判所で係争中。「1月の日程変更で受験できなくなった人たちと娘は同じ立場。次回検定料を免除したのなら、私たちにも同じようにすべきだ」と話します。