2021年12月28日(火)
第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議にたいする要請
日本共産党委員長 志位和夫
日本共産党の志位和夫委員長は27日、来月4日から国連本部で開かれる第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議にたいする要請文を発表しました。要請文は、NPT再検討会議のグスタボ・スロウビネン議長(アルゼンチン)、中満泉・国連軍縮担当上級代表、核保有五大国、オーストリアなど核兵器禁止条約を推進する諸国、反核平和団体などに送られました。全文は以下の通りです。
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国際社会が「核兵器のない世界」への前進を強く求める一方、核兵器国は核戦力の近代化など、その増強をすすめ、核兵器に固執する姿勢をこれまで以上に強めています。この重大な情勢のもとで開かれる第10回NPT再検討会議にたいし、私は、核兵器による言語に絶する惨禍を体験した唯一の戦争被爆国の政党を代表し、また、市民社会の一員として、以下の要請を行います。
1 核兵器の非人道性を、締約国の共通の認識とすることを求めます
広島と長崎への原爆投下が示すように、核兵器の使用は言語を絶する惨禍をもたらします。現存する核兵器のごく一部が使用されただけでも、環境破壊の影響は全世界におよぶと言われています。NPTの条約自身も「核戦争が全人類に惨害をもたらすもの」であると認めています。
第10回NPT再検討会議がこの原点にたち、被爆者や核実験被害者の声に真摯(しんし)に耳を傾け、核兵器使用の壊滅的な人道的結末―その非人道性を締約国の認識とすることを求めます。
2 2000年合意、2010年合意の再確認、具体化、実行を求めます
核兵器使用の危険を根絶する唯一の保証はその完全廃絶です。NPTは条約第6条で、すべての締約国が核軍備縮小撤廃にむけた交渉を行うことを求めています。史上初めて核兵器を違法化した核兵器禁止条約の発効は、そうした努力の一環であり、わが党は、これを心から歓迎しています。
五大国だけに核保有を認め、それ以外の国にこれを禁じる、史上類を見ない差別的な体制を国際社会が認めたのは、NPTが条約第6条で核軍備縮小撤廃を義務づけたからにほかなりません。核兵器国が第6条の義務を果たさない態度を続けることは、NPT体制そのものを根底から揺るがすものとなるでしょう。
第6条履行への誠実な態度こそ、会議を成功させる土台です。
これまでNPT再検討会議は、「適切な限り早期における、自国核兵器の完全廃絶にいたるプロセスへのすべての核保有国の参加」と「自国核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」(2000年最終文書)、および、「核兵器のない世界を実現、維持する上で必要な枠組みを確立すべく、すべての加盟国が特別な努力を払うことの必要性」(2010年最終文書)を全会一致で確認してきました。
第10回NPT再検討会議が、これらを再確認し、具体化、実行に足をふみだすことを強く求めます。
3 核軍縮の部分的措置の前進を求めます
包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、兵器用核分裂物質の製造禁止条約(カットオフ条約)、核兵器の先制不使用、非核保有国への核兵器使用・威嚇の禁止、世界各地の非核地帯条約など、核軍縮の部分的措置を前進させることも重要です。1995年再検討会議で採択された、中東非核兵器地帯の創設をめざす決議の完全な履行は会議の成功に不可欠です。
核兵器を含む軍事力の増強が、誰の安全も強化しないことは、新型コロナ・パンデミックのもとでいっそう明白となりました。世界的な軍縮が今ほど求められているときはありません。すべての締約国がこの現実を直視し、第10回NPT再検討会議が「核兵器のない世界」への実効力ある具体的行動に踏み出すことを強く求めます。