2021年12月22日(水)
大阪カジノ 負担790億円
土壌汚染対策などを発表
問われる「用地の適性」
29年開業めざす
大阪府と大阪市は21日開かれた副首都推進本部(本部長・吉村洋文府知事)の会議で、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)を誘致するため人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)の整備計画案の骨子を発表しました。合わせて「用地の適性確保」のための土壌汚染対策、液状化対策、地中障害物撤去の大阪市負担は概算で約790億円になるとの試算を示しました。
大阪IRは「国内外から毎年約2000万人が訪れる国際観光拠点の核となる大規模集客施設」として、2029年秋から冬頃の早期開業をめざすとしていますが、ギャンブル依存症問題などとともに用地の「適性」そのものが問われています。予定地の土壌汚染は1月に発覚。松井一郎大阪市長は20日、記者団に「安心、安全な土地を事業者に借りてもらうため、所有者の市が費用負担するのは当然」などと語りました。
骨子によると、大阪IRの建設予定地は「夢洲」の北側約49ヘクタール。市の所有地で、事業者に貸し出す形をとります。事業者は唯一公募に応じた米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの連合体。事業期間は35年間(延長約30年間)。初期投資額は約1兆8000億円(うち建設関連約7800億円)。資金調達は出資約5300億円(MGM、オリックスそれぞれ約40%)、借入約5500億円。年間売り上げは約5200億円を見込み、その8割の約4200億円はカジノです。カジノ施設はIR施設の総延床面積の3%以内ですが、収益の文字通りの中核となります。
「税金使わない」発言に反する
大阪連絡会がアピール
誘致断念求め
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カジノに反対する大阪連絡会は同日、「大阪の歴史・文化・暮らしを壊すカジノ誘致計画に反対します」とのアピールを発表。「カジノには一切税金を使いません」との松井市長のこれまでの発言に反して土壌汚染対策などに約790億円も市が負担することを明らかにしたと指摘。「成長」をうたっているものの、IRの売り上げの8割はカジノであり、「IRとはカジノ中心の賭博(とばく)場でしかない」とし、ギャンブル依存症を量産し、家庭崩壊の不幸の上に収益が生み出されると告発。「カジノよりくらし・医療・防災に税金を使うことが求められる」として、カジノ誘致断念を強く求めています。
カジノ問題を考える大阪ネットワーク、カジノに反対する大阪連絡会、カジノに反対する団体懇談会などは、整備計画案の骨子が発表されるのに先立ち20日、大阪市内で記者会見し「松井市長が土壌汚染を認めたことは重いが、わずか800億円程度で対策ができるとは思えない。そもそも汚染土壌の上に商業施設を建てることは想定されていない」(桜田照雄阪南大学教授)として、カジノ誘致に強く反対を表明しました。