2021年12月17日(金)
独「過去100年最大の転換」
気候対策へ 経済も産業も
施政方針 ショルツ新首相表明
【トゥルク(フィンランド南西部)=桑野白馬】ドイツのショルツ首相は15日、連邦議会(下院)で初の施政方針演説に臨み、大規模な経済改革で気候変動対策とデジタル化を進めると表明しました。
ショルツ氏は「公正な分配」に言及し、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換により持続可能な社会を目指すと強調。「過去100年で最大規模の経済と産業の転換を意味する」と指摘しました。
また、新政権が表明した石炭火力発電廃止時期の2038年から30年への前倒し目標を国民が支持しなければ、再エネへの移行はうまくいかないと警鐘を鳴らしました。
連立政権協定で約束した時給12ユーロ(約1540円)への法定最低賃金引き上げに関しても、国の経済を強化するためにも必要と改めて言及。移民のドイツ国籍取得条件の緩和や二重国籍を容認し「合法的な移民」を推し進めると語りました。
新型コロナウイルス対策に関して「国が正常に戻る」ためのワクチン接種を呼びかけました。全国で相次ぐ極右などのコロナ規制反対デモについては「少数の過激派が社会全体に自分たちの意思を押し付けようとすることは許さない」と強調。「われわれの民主主義は自らを守る準備ができており、その方法を知っている」と表明しました。
そのほか、コロナ後を見据えて列車の運行本数の増加や電気自動車の利用促進を打ち出しました。
外交問題では、中国の人権侵害に関し「注視する」とし、ロシアに関してはウクライナ国境付近にロシア軍が展開していることを念頭に、仮にウクライナに侵攻すれば「高い代償を払う」と警告。米国との同盟関係や北大西洋条約機構(NATO)は「われわれの安全保障の基礎だ」と述べました。