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2021年12月15日(水)

介護補足給付 入所では半数負担増

8月の改悪で月6万9000円増の例も

民医連調査で判明

 介護保険施設に入所する低所得者の食費・居住費を補助する制度(補足給付)の8月からの改悪で、補助を受けていた人の約半数が負担増となったことが、全日本民医連の調査で分かりました。月6万9000円の負担増となった事例など影響は深刻です。ショートステイ利用者は9割近くも負担増となっていました。


グラフ

 調査は、制度の変わり目の7、8両月に入所・利用していた人への改悪の影響を調べたもの。特別養護老人ホームなど介護保険施設の入所者については47施設、ショートステイ利用者に関しては64事業所が回答。林泰則事務局次長が14日に記者会見し、結果を発表しました。

 施設入所者(2730人)では、7月まで補足給付を受けていた1789人のうち、資産要件の厳格化で8月から251人(14%)が補助対象から外されました。対象外となれば、食費も居住費も全額自己負担となり、月2万5000~6万9000円の負担増となります。調査では、月約8万4000円の利用料が同15万円超へと倍近くに跳ね上がった事例がありました。

 引き続き対象となったものの、収入要件の改悪で月2万2000円の食費負担増となった人も641人(35・8%)に上りました。

 対象外となった人と食費負担増となった人を合わせると、補助を受けていた人の約半数が負担増を強いられたことになります。

 ショートステイ(1141人)では、補助対象だった477人のうち、64人(13・4%)が対象外に。対象のままでも食費負担が増えた人が358人(75・1%)に上りました。対象のままだった人の負担増の幅は年収によって3段階(最大650円)あり、半数近くが最大幅の負担増となっていました。

 林氏は、退所や利用控えで家族の介護負担が増したり、施設の入所申し込みを断念したりした事例、利用者と家族の共倒れを危惧する声があったと指摘。「低所得者を標的にコロナ禍で実施された負担増で、二重の矛盾がある。改悪は中止・凍結すべきだ」と強調しました。

写真

(写真)調査結果を発表する全日本民医連の林事務局次長=14日、厚生労働省

高齢者の預貯金狙い撃ち

 「葬儀代くらいは残したいと貯金してきた。先の見えない施設利用料・利用期間に不安を感じる」「認知症悪化のため個室利用を開始したが、約4万円の負担増となり支払いが厳しいと相談あり」

 全日本民医連が実施した、介護保険の補足給付見直しの影響調査結果は、所得が低い高齢者の預貯金を狙い撃ちした制度改悪によって、施設の利用者やその家族に深刻な事態が起きていることを数多くの事例で立証しています。

 補足給付は、所得の低い特別養護老人ホームなど介護保険施設の入所者や決まった期間だけ施設で過ごすショートステイ利用者の食費や居住費を、所得水準に応じて減額する仕組みです。自公政権は2014年、所得が低くても一定以上の預貯金があれば補足給付を受けられないように改悪しました。

 今年8月の改悪はこの資産要件をさらに厳格化。これまでの収入に関係なく単身世帯1000万円以下、夫婦世帯2000万円以下を、収入に応じ単身500万~650万円、夫婦1500万~1650万円へ引き下げました。民医連調査では施設入所、ショートステイとも13~14%の人が新たに補足給付の対象外となり、退所や利用を控える事態が生じています。

 補足給付の対象から外れた場合、施設入所では最大年間約83万円、ショートステイでも最大1日約2200円の負担増となる場合があります。

 今回の改悪は、資産要件をクリアして補足給付を引き続き受けられることになった人にも負担増を課しました。対象になるのは本人の年間収入が「120万円超~155万円以下」の入所者。食費が現在の日額650円から1360円と倍以上に引き上げられます。現行で月約2万円の負担が、月4万2000円となります。

 食費の負担増はショートステイ利用者にも及び、日額210~650円の引き上げとなります。民医連の調査には「ショートステイを月7回程度利用していたが、費用負担が厳しいため月2~3日程度に減らす、もしくは利用しない月がある」との声が寄せられています。

 施設にも入れず、ショートステイも利用できない人が、今後いっそう増える危険性があります。家族の介護負担の増大にも直結し、政府が掲げる「介護離職ゼロ」にも逆行します。

表

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