2021年12月11日(土)
トンボ類 絶滅の危機
地球規模 繁殖地消失で
国際自然保護連合(IUCN)は9日、絶滅の恐れのある野生生物をまとめたレッドリストの最新版を発表し、トンボ類が地球規模で絶滅の危機にあると警鐘を鳴らしました。原因は、トンボ類が繁殖する沼などの湿地や自然河川の消失にあると指摘しています。
発表によると、世界で6016種のトンボ類の16%が絶滅の危険にさらされていることが明らかになりました。南アジアと東南アジアでは、パーム油などの生産のために湿地や熱帯雨林を開発したため、全種の4分の1以上の絶滅が心配されているといいます。
中南米では、居住地や商業施設のための森林の開発がトンボ減少の主因となっています。世界のあらゆる地域で殺虫剤や汚染物質、気候変動が生物への脅威となっており、北米やヨーロッパではこれらがトンボ類の最大の脅威だとしています。
IUCN事務局長のブルーノ・オベール博士は「湿地は炭素を蓄え、きれいな水と食料を供給し、洪水から守り、世界で知られている生物種の10分の1に生息場所を与えている」と指摘。「トンボ類は、淡水生態系の現状に関する高度に敏感な指標である」と保護を訴えています。
最新版では、フランスやスペインなどにすむ半水生の哺乳類、ピレネーデスマンがこれまでの危急種から絶滅危惧種に引き上げられました。