2021年12月6日(月)
コロナ給付金 クーポン967億円事務費に批判
そもそも必要な人に届かないのが大問題
政府の補正予算案に盛り込まれた18歳以下への10万円相当の給付金をめぐり、給付のあり方に批判の声があがっています。現金とクーポンに分けて給付することで、事務経費が967億円も増加。このことが税金の無駄遣いとの批判を浴びています。
そもそも給付方法による税金の無駄遣い以前の問題として、この給付には、必要な人に必要な給付が届かないという大問題があります。
もともとこの給付金は、「コロナ禍で大変苦しんでいる女性や非正規、学生といった弱い立場の方々に現金給付を考えたい」(10月4日の記者会見)という岸田文雄首相の考えに基づいて計画されたものでした。ところが、対象を子育て世帯に絞ったために、非正規労働者などコロナ危機で困っている多くの人たちには届きません。「コロナ禍で大変苦しんでいる方々のために」というのなら、抜本的に見直す必要があります。
そのうえ、今回の給付金では、現金で5万円、クーポンで5万円の給付に分ける計画です。クーポンによる給付で事務経費が大幅に増加します。税金の無駄遣いは大問題です。
自民党の茂木敏充幹事長は11月29日の記者会見で、クーポンによる給付について(1)子育て目的に限定(2)有効期限を設定することによる消費喚起(3)地域活性化への波及効果―などの政策的意義があると強調。「人件費やシステム経費を含め事務費を要する」として967億円の事務費を正当化しました。
現金とクーポンによる給付に分けず、すべて現金で給付すればこの967億円は不要です。これをさらに必要な施策に回すこともできます。
補正予算案に盛り込まれたコロナ給付金は、抜本的な見直しが必要です。税金の無駄遣いは大問題ですが、クーポンをやめ、すべてを現金給付にしさえすればいいというものではありません。コロナ危機で困っている人すべてに必要な給付金が行き渡るようにする見直しが、あくまでも求められています。(山田英明)