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2021年12月1日(水)

主張

オミクロン株

医療・検査体制の点検と強化を

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染者の報告が世界各国で相次いでいます。日本でも30日、空港検疫で入国者から国内初の感染が確認されました。世界保健機関(WHO)は、世界的なリスクは非常に高く、さらに拡散する可能性があると指摘しています。日本政府は30日から外国人の入国を原則停止しました。水際対策は一層厳格に行われなければなりません。今夏、日本では菅義偉前政権の失政からデルタ株の被害を広げました。そのことへの深い反省を踏まえ、医療・検査体制の総点検と強化を図ることが急務となっています。

リスクを迅速に把握する

 新しい変異株は南アフリカで感染拡大が確認されました。WHOは26日、「オミクロン株」と命名し、警戒の位置づけを高めました。日本の国立感染症研究所も警戒度が最も高い「懸念すべき変異株」にリスク評価を引き上げました。南アフリカでデルタ株からオミクロン株に急速に置き換えがすすんだことから「著しい感染・伝播(でんぱ)性の高さが懸念される」としています。

 オミクロン株の感染力の強さや重症化リスク、ワクチン効果への影響など詳細はまだ分かっていません。それだけに、監視の体制を強め、性質や危険性について解明することが急がれます。

 なにより水際対策です。これまで日本では、海外からの変異株流入を防ぐ対策で後れをとり、深刻なまん延を引き起こしてしまいました。空港検疫など入国検査のあり方を改めて点検し、検査の精度を向上させ、新たな変異株を迅速に検知できるようにしなければなりません。

 各国で次々と感染者が確認されている中で、日本でも入国検査でつかめなかった感染者がいる可能性も念頭に置く必要があります。変異株かどうかを早期につかむためのPCRをはじめとする検査体制の拡充・強化、ゲノム解析の徹底などが求められます。

 今年の夏、政府は、感染力が強いと指摘されていたデルタ株の危険を軽視し、緊急事態宣言下で東京五輪を強行しました。感染爆発を招いた過ちから教訓を学ぶことが重要です。いま日本国内の感染は落ち着きをみせています。こういう時だからこそ、保健所や医療が危機時に機能するかをチェックし、備えを万全にしていくべきです。岸田文雄政権はまだまだ不十分な医療・検査の体制を整えるために力を注ぐ時です。

 感染数の減少の中で、行動制限が緩和されてきていますが、感染状況に厳重な注意を払い、リスクがあれば行動の制限を再び強化するなどの機敏な判断と対策も重要になっています。その際、営業や暮らしに打撃とならないよう補償などの対策が不可欠です。

正確な情報の発信が重要

 国民一人ひとりにとっては、新しい変異株であっても基本的な予防対策(3密の回避、マスクの着用、手洗いの徹底など)は変わりません。専門家からは引き続きワクチンの重要性が強調されています。スムーズに接種を進めることは政府の責任です。

 正確な情報の発信が、実効性のある感染症対策を進める大前提です。国民に説明しない政治では信頼も協力も得られません。政府の姿勢があらためて問われています。


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