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2021年11月24日(水)

政治考

野党共通政策いまこそ重要

“憲法無視、軍事強化”に対抗

 総選挙における市民と野党の共闘の大義と魅力を表したものが9月8日に市民連合と4野党が合意した共通政策でした。その重要性は総選挙後の自民党や日本維新の会などの改憲への前のめりの動きの中でますます大きくなっています。


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(写真)改憲反対署名宣伝に取り組む総がかり行動実行委員会の人たち=18日、東京・新宿駅西口

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「これからの日本の政治を考える時、非常に危険なのは、敵基地攻撃であるとか、台湾有事に軍事的に協力するとか、沖縄周辺にミサイルを配備するとか、今まで以上に軍事的に踏み込んだ対応をしようとしていることだ」と指摘します。

 改憲勢力は、孫崎氏が指摘するように軍備拡大・強化の動きを進める中で、岸田文雄首相を先頭に9条改憲へ向けた国会論議の加速を次々と打ち上げています。日本維新の会などにも広がった日本会議国会議員懇談会のネットワークを軸に、自公維に加え国民民主党も巻き込みながら、衆参の憲法審査会の毎週開催を進める構え。自民党は改憲推進本部を改組し「憲法改正実現本部」を立ち上げ、本部長に日本会議議連会長である古屋圭司元国家公安委員長を就任させました。

 日本共産党の志位和夫委員長は18日の記者会見で、「憲法9条改定への大変危険な新局面が生まれています」と指摘。「9条改憲許すな」「9条を生かした平和外交を」の一点で草の根からの大運動を起こしていくことを強く呼びかけました。

 孫崎氏は、日米同盟強化の動きについて「それが政策的に危険でマイナスであることはもちろんだが、それらが日本の憲法体制を超えて軍事を動かそうとするものだけに、野党が総選挙での共通政策で示した『憲法に基づく政治の回復』『安保法制の違憲部分の廃止』という視点は極めて重要だ」と語ります。

 孫崎氏は「集団的自衛権行使を可能とした安保法制に対する疑問、批判の動きがあり、これを廃止していくという運動をもう一度しっかり立て直していきたい。私はそれに向かって貢献できるなら、最大限の貢献をしていきたい」と強調します。

日本の針路めぐる大義

 総選挙後、安倍・菅政権を後押ししてきたメディアを中心に、野党共闘への攻撃が盛んです。その中心は、「理念や政策が一致しない共闘には、国民の支持が集まらないことが明確になった」(「読売」3日付社説)、「(立民)惨敗の原因は、天皇や自衛隊、日米安全保障条約など国の根幹で相いれない共産党と共闘したことが大きい」(「産経」同日付主張)などと野党共闘を“理念なき野合”とおとしめる議論です。

 しかし、総選挙中のNHK党首討論(10月24日)で、日本共産党の志位和夫委員長は「(野党共通政策には)『安保法制の違憲部分の廃止』とある。これは集団的自衛権を行使するのはやめようということです。…安保・外交の一番の根幹部分でしっかり合意している」と指摘。共闘の大義と一致点の重要性を明確にしました。

「戦争する国」か

 つまり野党共闘は、外交・安保など「国の根幹」にかかわる問題でしっかり合意しています。安保・外交分野で現在の緊急課題は、日本を「戦争する国」にするかどうかであり、集団的自衛権の行使を可能とした安保法制への態度です。

 この点で選挙中、安倍晋三元首相が街頭演説に立ち、野党が安保法制廃止を主張していることに対し「平和安全法制(安保法制のこと)をやめてしまったら日米は助け合える同盟から、助け合えない同盟に変わってしまう。その瞬間、日米同盟は終わってしまう」と繰り返し共闘を攻撃しました。

 そのうえで安倍氏は、「方向は逆だ」として「北朝鮮がミサイルを発射し脅威を強める。中国から軍事的な増強を背景に尖閣、台湾、東シナ海で一方的な現状変更にチャレンジする中、日米同盟を強化していくことだ」と、あからさまに安保法制を軸として日米軍事強化の方向を主張したのです。

立場の違い留保

 自衛隊発足以来の「専守防衛」という憲法原則を破って、米国と一体に海外で武力行使する集団的自衛権を認めた安保法制を廃止するのか、それともその方向での日米軍事協力の拡大強化を許すのかが総選挙の大争点でした。

 野党が、日米安保体制と自衛隊の存在それ自体について立場の違いを留保し、「安保法制の違憲部分の廃止」で選挙協力と政権協力の合意をしたことは、まさに日本の針路をめぐる大問題での歴史的大義を示すものでした。


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