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2021年10月25日(月)

フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」党首討論

志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は24日放送のフジテレビ番組「日曜報道 THE PRIME(ザ・プライム)」で行われた党首討論で、新型コロナ対策や対中国の対応などについて与野党党首と議論しました。

コロナと経済――検査体制、医療拡充、暮らし・営業支援が必要

 冒頭、コロナ対策と経済活動をどう進めるかがテーマに。岸田文雄首相(自民党総裁)は「まだ楽観視はできない。ワクチン、検査、治療薬の実用化の流れをつくる」と具体策に触れずじまい。志位氏は次のように述べました。

 志位 私は、「第6波」への備えをしっかりやりながら、段階的に経済活動を回していくべきだと思います。そこで三つ必要だと思うんですよ。

 第一は、「だれでも、何度でも、無料で」PCR検査が受けられる態勢を、いまのうちにしっかりつくっておく。

 第二は、医療体制です。政府は「地域医療構想」の名で、こともあろうに消費税を財源にして、20万床の急性期などのベッドを削っていくことを始めています。これは中止して、拡充に切り替える。

 そして第三は、傷んだ暮らしと営業を立て直していくための支援です。とくに持続化給付金、家賃支援給付金の再給付、あるいは私たちは10万円(を基本に)の「暮らし応援給付金」を提案しておりますが、これらの給付によって、国民が安心して感染対策に協力できるような条件をつくっていく。この三つが必要だと思います。

財源問題―緊急のコロナ対応は国債で、消費税減税など抜本対応は富裕層・大企業への応分負担で

 財務省の矢野康治事務次官が月刊誌への寄稿で、与野党が主張する給付金などの政策論争を「ばらまき合戦のようだ」と批判していることへの受け止めと、財源問題に対する各党の質問が出され、立憲民主党の枝野幸男代表は「100年に1度の危機であり、当然財政規律より財政出動だ」と主張。志位氏は次のように答えました。

 志位 私たちは、いまのコロナの緊急の対応で、例えばさまざまな持続化給付金、その他の給付金、支援金を出していく。こういう緊急の対応は国債でまかなうのは当然だと(考えます)。いまお話があったように、100年に1度の大災害ですから、命と暮らしを守るために必要な財政出動が必要です。それを「ばらまき」というのは、私たちは筋違いの話だと(思います)。

 もう一つ、抜本的な措置です。例えば私たちは消費税5%(への減税)と言っております。そういう抜本的な措置・対応については、これは財源をしっかりつくっていく。富裕層や大企業への優遇税制をあらためる。あるいは最高税率を所得税・住民税については65%まで上げる。大企業の法人税についても、28%まで戻すという具体的な提案をしております。

 財務省は、そういう方面はまったく手をつけようとしないわけですよ。富裕層・大企業ですね、ここは。(米大統領の)バイデンさんも“ここに負担を求める必要がある”と言っているのに、財務省はこっちのほうはやらない。そして、必要なことを「ばらまき」というのは、私は二重におかしな議論で賛同できませんね。やはりそういう方向が必要だと思います。

家計貯蓄の36兆円―消費税5%への減税が消費喚起に最も効果がある

 番組内では、「いま貯蓄が36兆円に達している」と紹介され、司会者が志位氏に対し「今後経済を再開するなかで、経済活性化のために36兆円を消費に合わせて成長に加えていくという考えがある。この36兆円の方策についてどう考えるか」と質問。志位氏は次のように答えました。

 志位 消費税5%の減税が一番効果があると(思います)。消費の拡大に直結する減税が消費税の減税です。ですから、いまコロナのもとで世界62カ国でそういう減税に踏み出していますよね。日本もそれに踏み切るべきだと(思います)。

 貯蓄36兆円というのは家計の貯蓄でしょう。たまっているという点では、別のところにもたまっているんですよ。

 日本の大富豪の資産は、「アベノミクス」のもとで6兆円から24兆円に4倍になった。大企業も1・6倍に利益を増やして、内部留保を133兆円も増やした。こっちの方は大変なお金がたまっている。ですから、ここからきちんと税金を取る。そして応分の負担を富裕層と大企業に求めて、消費税は減税する。

 この方策を取るのが一番合理的で、こういう「再配分」をやってこそ消費が活発になるというのが私たちの主張です。

対中国問題―国際法にもとづく冷静な批判で外交的に包囲していく

 軍事大国化を強めている中国にどう対処するかなど外交問題が議論になりました。「抑止力として日米同盟の強化が必要ではないかとの意見があるが」と問われ、志位氏は冷静な外交的批判で中国を包囲していくことが必要だと力説しました。

 志位 私は、中国がこうやって軍事大国化を進めているのは、たいへんに問題だと思うんですね。

 それに対して、こちらの側も軍事で対応するという形になりますと、これは軍事対軍事の悪循環に陥って一番危険なことになる。

 私は、中国に対して一番大事なのは、国際法に基づくきっちりとした外交的な批判をやる、ここにあると思っています。

 中国が、東シナ海、南シナ海で覇権主義をやっています。これにかかわって、とくに(中国政府は)「海警法」という法律をつくりましたね。これは自分が「管轄海域」と決めたところでは、武器の使用ができるという、はっきりとした国際法違反の法律をつくってやってきている。そのとき私たちは、「国際法違反であり撤回せよ」という声明を出しましたけれども、日本政府は、「国際法違反」だと言い切らないわけですね。

 やはり、ここはきちんと、国連憲章、国連海洋法条約、国際法に基づいて、あなた方は違反しているということを、きちっと言う冷静な外交的な批判によって、中国を外交的に包囲していく。そして無法なことをやめさせていく。これが一番、日本にとって大事だと(思います)。

 そこをやらないでおいて、軍事対軍事の方向にいっちゃいますと、これは危険なことになって、中国のある意味で思うつぼになっていくというふうに思います。

北東アジアで、中国も一員に入れた地域の平和協力の枠組みを

 岸田首相は「中国の力による現状変更に対して、島嶼(とうしょ)防衛等においてしっかりと対処能力を向上させていかなければならない」と述べ、日本維新の会の松井一郎代表も「中国の脅威に対し、抑止力を持つための防衛力の予算を」と軍事的対応を強調。これに対し志位氏は次のように述べました。

 志位 私はさきほど中国に対して、「国際法に基づく批判が大事だ」というふうに申し上げましたけど、もう一つ大事なことがある。

 それは、中国が軍事的に台頭するのに対して、軍事で包囲していくということになりますと、新しい冷戦体制がつくられる。そうじゃなくて、中国も一員に入れていくような地域の平和協力の枠組みをいかにしてつくるか(ということです)。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)はそういう努力をやっているわけですね。ASEANと中国の間で「南シナ海行動宣言」を結んで、紛争問題を平和的に解決するという努力を、いろいろとジグザグがありますけれどやっている。

 ASEANのようなかたまりを北東アジアにもつくって、地域の問題はすべて平和的な話し合いで解決する。中国も入れて、6カ国、あるいは7カ国でそういう枠組みをつくっていく。これが一番の道だと思います。

訴えたいこと―気候危機を本気で打開する政治を

 31日の総選挙投・開票日まで残り1週間。各党首が「最も訴えたいことは」と問われ、志位氏は次のように発言しました。

 志位 きょう議論されなかったんですが、気候危機を本気で打開する政治、これを訴えていきたいと思うんですね。

 (岸田政権が閣議決定した)政府の「エネルギー基本計画」を見て驚きました。石炭火力を2030年に(総発電量に占める割合を)19%、それから原発は20~22%とある。この石炭火力というのは(国連から)撤退を求められているのに、続けるというのは本当に間違っている。これはゼロにする。原発も直ちにゼロにする。そして再生可能エネルギー、省エネルギーで、本気でこの危機を打開する。本気になって取り組む政治が必要だと思います。


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