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2021年10月21日(木)

きょうの潮流

 23年前の夏。甲子園の取材席から見つめ続けた姿は、力強くしなやかで、堂々としていました。劣勢を何度もはねのけ、決勝では春夏連覇とともにノーヒットノーランを達成。横浜高校の17歳エースは、輝いていました▼伝説となった準々決勝のPL学園戦。延長17回に及んだ二転三転の激闘は、最後まであきらめなければ勝てる、喜べる、報われる、それを学んだ―。いま41歳になる松坂大輔投手は引退会見でそうふり返りました▼栄光と挫折の野球人生でした。高卒でプロ入り、並みいる強打者に真っ向勝負を挑む鮮烈なデビュー。とくにイチローとの名勝負は球団の枠をこえてプロ野球ファンを魅了しました▼日本を代表する投手として国別対抗戦のWBCや五輪でも活躍。07年の大リーグ移籍後も、1年目にチームのワールドシリーズ優勝に貢献しています。しかしその後は肩の故障とのたたかいの連続でした。「ぼくみたいに一番良い思いと、どん底も同じぐらい経験した選手はいないかもしれない」▼追いつめられ投げたくないと思ったときも。でも最後は逃げずに立ち向かう。どんな結果も受け入れる。そんな覚悟でマウンドに立ったといいます。あきらめなければ報われると信じながら▼今後は指導者の道も。以前本紙で子どもたちに呼びかけていました。「自分で試して、いいと思ったら取り入れてほしい。これまでの球界の『常識』がいいとは限りませんから」。困難な時も、みずからの力で切り開いていった勇姿を示しながら。


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