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2021年10月20日(水)

シリーズ検証 安倍・菅政権の9年

放送に介入・支配(下)

視聴者団体 各地で活動

政権寄り報道に反撃開始

写真

(写真)「政権べったりの報道はやめろ、戦争法案に加担するな」とNHKを包囲する人たち=2015年8月25日、東京都渋谷区

 総選挙公示を前にした15日、視聴者団体はNHKと民放各局、全国紙に対して、質量ともに充実した「政策本位の報道」をするよう申し入れました。安倍政権による放送の支配が進むなか、各地で視聴者団体が発足したのが新しい特徴です。2021年現在、「NHK問題全国連絡会」には、古くから活動していた団体を含め24団体が名を連ねています。

 15年8月25日には、戦争法をめぐり政権寄り報道を続けるNHKに対し、視聴者団体の呼びかけでNHK包囲行動が取り組まれ、約1000人が「政権の広報はやめろ」と抗議しました。

 学習会や署名、「良い番組を見たら激励、悪い番組を見たら抗議」の電話かけなど、視聴者目線の活動に意義があります。

労働者も

 放送労働者も黙っていません。自民党による「公平中立」報道の要請(14年)や、16年の高市早苗総務相(当時)の「停波」発言など放送に圧力がかけられるたび、日本民間放送労働組合連合会(民放労連)は厳しく抗議し、表現・言論の自由を守るためにたたかうと訴えました。戦争法には「戦争のために二度とカメラを回さない」と決議しています。

 安倍・菅政権は、視聴者・労働者の声に背を向け続けました。結果、安倍晋三元首相は「森友」「加計」「桜」の国政私物化疑惑で国民から見放されました。菅義偉前首相はコロナ禍での東京五輪強行で信頼を失いました。

 菅氏は4月の国政3選挙、7月の都議選、8月の横浜市長選に全敗しました。野党共闘の候補が自公に代わる選択肢と有権者が考え始めたといえます。

 近年のテレビメディアの政治報道の弱点として権力者目線で物事を捉える傾向が挙げられます。“野党はばらばら”とやゆするような表現がいい例です。それでは有権者の変化は分かりません。

 放送法はその目的を「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図る」と定めています。放送は民主主義を支えるためにあるのです。

国民目線

 自民党総裁選をめぐっては、国民の立場での報道はほとんど見られませんでした。わずかに朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」が9月24日、日本共産党の志位和夫委員長ら野党4党の代表を招いてコロナ対策や原発・エネルギー政策、消費税減税などの経済対策と総選挙に向けた野党共闘について議論したのが目立つ程度です。

 選挙における「公平中立」報道を要請した自民党に忖度(そんたく)したのか、選挙期間に入ると選挙報道が減少する傾向が続いています。

 権力の代弁ではなく、視聴者・国民にとって本当に必要な情報を届けることができるのか―。視聴者の声に耳を傾け、国民とともに歩むような放送局に変えるためにも、政権交代が必要です。

 (おわり)


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