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2021年10月19日(火)

日本記者クラブ 党首討論

志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は18日、日本記者クラブの討論会に出席し、総選挙の争点などについて、与野党党首と討論しました。

総選挙で何を訴えるか

政権交代を実現し、国民の声が生きる新しい政権を

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(写真)党首討論で発言する志位和夫委員長=18日、東京都千代田区

 冒頭、総選挙で各党党首が一番訴えたいことをフリップで掲げ、志位氏は「野党共闘で新しい政権を」と書き、次のように述べました。

 志位 今度の総選挙は、自公政権を続けるのか、野党共闘で新しい政権をつくるのか、政権選択の選挙です。

 格差と貧困をひどくし、国政私物化疑惑にまみれ、コロナ失政で多くの犠牲を出した安倍・菅政権を引き継ぐ岸田政権には日本の政治を任せられません。

 今こそ、政権交代を実現し、国民の声が生きる新しい政権をつくりましょう。そのためにも、日本共産党をどうか躍進させてください。よろしくお願いします。

首相に問う――消費税減税

消費税減税に踏み切れ――「社会保障を削る財源」に使いながら「社会保障の財源」はなりたたない

首相、答えられず

 続いて党首間の討論にうつり、志位氏は、岸田文雄首相に次のように質問しました。

 志位 コロナで傷ついた暮らしと営業を立て直すために、消費税5%への減税は、最も効果的だと思います。私は、国会の代表質問でそのことを提案しましたが、総理は「社会保障の財源」だとして減税を拒否されました。

 しかし、「社会保障の財源」とおっしゃいますが、自公政権は、コロナのさなかの今年の国会で、急性期の入院ベッドを20万床削減するために、こともあろうに消費税を財源にして、入院ベッドを削減した病院に補助金を出す法律を強行したではありませんか。

 つまり消費税を、「社会保障の財源」どころか、「社会保障を削る財源」に使いながら、よく「社会保障のため」と言えたものだと、私は思います。

 今、コロナ危機のもとで消費税を減税した国は、世界で62カ国にのぼります。日本も、富裕層や大企業に応分の負担を求めて、消費税を5%に減税することに踏み切るべきではないでしょうか。

 岸田 消費税は社会保障の大切な財源であると従来から申し上げています。これは社会保障を支える大変重要な財源であるということは、全く思いは変わりません。

 消費税を引き下げることになりますと、引き下げに伴う買い控え、あるいは将来にまた戻すということになりますと、消費が減退するなどの副作用、ずいぶん大きなものがあります。この経済対策については、恒久財源を使うのではなく、機動的な財源を考えていかなければならない。少なくともいまの段階で消費税をさわることは考えるべきではないと思っています。

 志位 私が聞いたのは、「社会保障のため」と言いながら、「社会保障を削るため」に使っているじゃないかということを聞いたわけです。

 2021年度予算には、消費税を財源にして、195億円が計上されており、削減される病床数は1万床ですよ。まさに「病床削減先にありき」という形で、それに消費税を使っているわけですね。

 ですから、私は、消費税は「社会保障のため」ということは、もう二度と言わないでほしい。私は、(消費税)減税に踏み切るべきだと、かさねて強く求めたいと思います。

首相に問う――気候危機

2030年までに石炭火発をゼロにする意思があるのか。「フェードアウト」と言いながら九つの新増設はまったく矛盾しているではないか

首相、まったく答えられず

 志位氏はまた、気候危機について、岸田首相に次のように質問しました。

 志位 気候危機は非常事態であり、危機感を共有して緊急に行動することが必要です。その試金石となるのが石炭火力への対応だと思います。

 国連は、日本など先進国に対して、石炭火力発電の2030年までの段階的廃止を求めています。ところが日本はG7の中で石炭火力からの撤退期限を持たない唯一の国となっています。

 「石炭火力からいつ撤退するんですか」という国会でのわが党の質問に対して、総理は「2030年に向けてフェードアウトを進める」と答えられました。

 そこで2問、聞きます。

 一つ。国連が要請している30年までにゼロにする意思はあるのかどうか。イエスかノーかでお答えください。

 二つ。「30年に向けてフェードアウト」と言いながら、いま九つもの石炭火力を新増設しようとしているのは、全く矛盾しているんじゃありませんか。端的にお答えください。

 岸田 1点目に関しては、石炭火力の非効率なものから優先的に縮小していく、ゼロに向かって努力をしていく、フェードアウトをしていく。

 その一方で、エネルギーを考えた場合に、気候変動だけではなくして効率あるいは価格、安定供給、さまざまな観点から考えますと、エネルギーのメニューは多いものを用意しておかなければならないと考えます。現実の中で、必要とされる選択肢はしっかり維持しながら大きな目標に向けて前進をはかる。

 志位 2問ともお答えになられませんでした。この石炭火力の問題、これをつくりますと、30年以上動かすことになるんですよ。これから九つもの石炭火力をつくれば2030年はおろか、2050年まで動かすことになります。あまりに無責任な政治だと思います。

 私は、2030年までに石炭火力はゼロ、原発はただちにゼロの決断をする、そして2030年度までに10年度比で60%最大CO2を削減する、大規模な省エネルギー、再生可能エネルギーで脱炭素の道を進んでいくべきだと強く言いたいと思います。

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(写真)選択的夫婦別姓法案とLGBT法案の通常国会提出への賛否を問われ、一人だけ賛成の挙手をしなかった岸田首相(中央)=18日、東京都千代田区

記者からの質問に答えて

「委員長就任21年。人材はいない?」

たくさんの続く人材。党をつくって99年、政権交代にチャレンジの決意

 続いて記者からの質問に移り、志位氏に対して「志位さんが日本共産党の委員長に就任したのは2000年で、まもなく21年。書記局長(時代)を合わせると31年です。それだけ志位さんの統率力が優れていたということなのか、それとも共産党に人材がいないということなのか、どっちなんですか」と質問。志位氏は次のように答えました。

 志位 これは、その時々の党大会で、私たちは、しっかり代議員のみなさんによる選挙で選ばれ、そして(委員長としては)中央委員会総会で選出され、今日にいたりました。一生懸命やっていたら21年にたしかになっておりますけれども、人材という点でいいましたら、私は、たくさんの続く人材が出てきていると思うんですよ。小池(晃)書記局長、田村(智子)政策委員長、山下(芳生)副委員長、倉林(明子)副委員長。若い方では(参院議員・常任幹部会委員の)山添(拓)さん、吉良(よし子)さん。たくさんの続く人材が出てきておりますので、ぜひそこは見ていただきたいなと思っております。

 私は委員長になって21年ですが、とくにこの6年間は、野党共闘に大きくかじを切りました。そして、今度の選挙は、共闘でたたかう姿勢がようやくつくれたものですから、私たちとしては、ぜひ党をつくって99年ですが、政権交代にチャレンジしたい。新しい政権をつくるためにチャレンジしたい。

 私たちは、「限定的な閣外からの協力」ということで枝野(幸男・立憲民主党代表)さんたちと合意をしておりますが、その中身は市民連合のみなさんと合意した20項目――暮らし、ジェンダー、民主主義、平和という問題で、しっかりと自公政治をチェンジする内容を合意しておりますので、ぜひこれからさらに頑張りたいと思っているところです。

コロナ対策での財源問題は

緊急の支出は国債で。恒久的な措置では富裕層・大企業の優遇税制をあらためる

 財務省の矢野康治事務次官が月刊誌への寄稿で衆院選などに絡む政策論争を「ばらまき合戦のようだ」と批判していることへの受け止めと、財源問題に対する考えの質問が出され、志位氏は次のように答えました。

 志位 まず財務次官の発言ですが、私は、コロナという大災害はもう100年に1回という災害なわけですよ。ですから、コロナから命と暮らしを守るための緊急の支出、これは国債でやるのは当たり前だと(思います)。それを「ばらまきだ」というのは、私は筋違いだと申し上げたい。

 同時に、私たちは、恒久的な措置で、たとえば消費税を5%に下げる等々の恒久的措置を実行するための財源はきちんとつくるということを提案しております。

 たとえば、富裕層に対する優遇税制をあらためる。いわゆる“1億円の壁”―1億円を超えますと、税金が軽くなる。この金融所得課税を直ちに見直して、この“壁”を崩していく必要がある。それから、中小企業に比べまして大企業の方が税金が軽い。この優遇税制もただす必要がある。

 もう一つ、税率そのものを、私たちは所得税・住民税を65%まで上げる。そして、大企業の法人税については、安倍政権で23(%)まで下がったものを28(%)に戻すということを言っています。いまバイデン米政権も28(%)に戻そうと言っておりますね。ですからこれは日米協調でやっていきたいと思っています。

「限定的な閣外からの協力」とは?

限定でもその内容は、自公政治を変える一番の要での協力、今の政治を根幹から変える

 日本共産党が立憲民主党と合意した政権協力で「市民連合と合意した政策を着実に推進するために協力する。その際、日本共産党は、合意した政策を実現する範囲での限定的な閣外からの協力とする」となっていることに質問が出されました。「『限定的な閣外からの協力』とは何か。閣外協力に限定も非限定もあるんですか」と問われ、志位氏は次のように答えました。

 志位 あります。閣外協力も、全面的に政権に共同責任を負って、たとえば法案の事前審査をやるとか、そういう閣外協力もあると思うんですよ。私たちはそうではなくて、限定的な協力にする。

 ではその限定の中身は何かが大事なんで、市民連合と私たち野党4党が合意した「共通政策」がある。これは限定といっても、たいへん内容が豊かであって、たとえば「安保法制の違憲部分の廃止」、「核兵器禁止条約の批准を目指(す)」、「沖縄辺野古の新基地建設を中止」する、「従来の医療費削減政策を転換」する、「消費税減税を行い、富裕層への負担を強化する」。今までの自公政権のゆがみをチェンジする要になるものが全部ある。これをしっかり協力して実行しようというのが、私たちの立場です。

 記者 立憲民主の出した法案に反対するというのもあるということですか。

 志位 ありえます。それは(法案の事前)協議をやって共同責任を負うという立場じゃないですから。この限定の内容が自公政権をかえる一番要になるもので協力していこうということですから、ぜひこれをしっかりやっていきたい。限定でもその内容は今の政治を根幹から変える。これが私たちの立場です。

 「共通政策」に合意したれいわ新選組の山本太郎代表は「政策として結べる部分については合意しているので、それがしっかり履行されるかどうかは協力していかなければならないのは当然のことだ。一緒にやっていきたい」と発言。社民党の福島瑞穂党首も「市民連合と4野党で結んだ9月8日の政策協定書は、非常に豊かな未来へのパッケージだ。そのリストは自民党は絶対にできない、やらないリストだ」と述べました。

「他の党と比べていいところは?」

日本政治の“二つのゆがみ”をただし、資本主義をのりこえる社会への理想を掲げる党

 最後に「他の党と比べていいところは」との各党首への質問で、志位氏は次のように答えました。

 志位 私たちは、日本の政治の二つのゆがみ―異常なアメリカ言いなり、財界中心をただして、ほんとうに国民が国の主人公といえるという日本をつくることを目指しています。

 それから、人類の社会は資本主義でおしまいか。いまコロナのもとで格差、環境などいろんな問題が噴出しています。私たちたちは、その先に進むことができる(と考えています)。社会主義・共産主義ですが、これは決してつぶれてしまったソ連や中国のような、自由も民主主義も人権もない社会ではない。本当に人間の自由、人間の解放、そして資本主義のもとでつくられた自由と民主主義、人権の制度を花開かせる社会だと、そういう理想を掲げている党です。


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