2021年10月16日(土)
TBS「news23」党首討論
志位委員長の発言
日本共産党の志位和夫委員長は14日、TBS番組「news23」で行われた党首討論に出演し、経済対策や財源問題、子育て支援について日本共産党の提案を語るとともに、オンラインで参加した若者へのメッセージとして、気候危機打開にむけて「一緒に運動していきましょう」と呼びかけました。
経済対策――コロナで傷んだ暮らしと経営に緊急策と抜本策で支援を行う
番組では冒頭、新型コロナの感染拡大に対する経済対策として、各党が「現金給付」を掲げていることがテーマになりました。岸田文雄首相は、「現金を直接支給する方策を考えたい」と述べましたが、具体的な対象や内容は一切語らず、公明党の山口那津男代表は、「マイナンバーカードの取得を通じて支援する」と述べました。立憲民主党の枝野幸男代表は、「一律10万円から1年、本来なら遅すぎる。政権を担ったら、ただちに補正予算を組んで実行したい」と述べました。志位氏は次のように語りました。
志位 やはりたいへんに長いコロナ(危機)で、暮らしと経営がたいへんに傷んでいる。傷んでいるところに緊急の手当てはどうしても必要だと思うんです。
ですから私たちは、コロナで収入が減った世帯には中間層も含めて1人10万円程度、所得の少ない方にはプラスアルファ、多い方にはマイナスという制度設計で支給していきたい。それから中小業者のみなさんには、持続化給付金、家賃支援給付金の第2弾が絶対に必要ですから、これも求めていきたいと思います。
これは緊急策で、同時に、抜本策としては、中小企業支援をしっかりとやりながら、最低賃金を時給1500円に引き上げる。あるいは学生のみなさんへの学費を半分にする、給付奨学金を充実する、そして入学金(制度)を廃止する。そして消費税を5%にして、富裕層や大企業への課税を強化するというのを、抜本策として考えております。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、「大事なことは、どう早く配るかだ。いったん一律で配り、高所得者には課税時に逆カウントという形で返してもらうのが早い」と語りました。
財源問題――富裕層・大企業に応分の負担を求める
次いでテーマになったのは財源問題です。学生から「国の借金が当たり前のようになっているが、つけが回ってくるのは若い世代だ」と問われました。
枝野氏は、「一つは富裕層や超大企業にたいする税負担をお願いするという方向性を明確に示している」と表明しました。コメンテーターの星浩氏が、岸田首相に対して、「一時検討の対象にしていた“1億円の壁”、富裕層増税、金融資産への増税、どうやら腰砕け、先送りという印象だが」と質問。岸田首相は、財政出動し、経済を再生させたうえで財政だと述べ、「政策の順番として、まずは賃金を引き上げる優遇税制から始め、その先に金融所得税制を考えるべきだ。物事の順番を間違いなく進めることが大事だ」と言い訳に終始。さらに「どのくらいのスパン(間隔)で見直すのか」と聞かれた岸田首相は、「この何年かの幅広いスパンのなかで物事を考えていく」と明確に語りませんでした。
この議論を受けて、志位氏は、次のように語りました。
志位 私は、やはり今の状況のなかで、富裕層と大企業に対する応分の負担を求める改革を行っていく。
とくに富裕層については、今お話があった“1億円の壁”というのがあるんです。所得で1億円を超えますと、逆に税負担率が軽くなる。金融所得課税が軽いですから、そうなっているわけで、(岸田首相は)それを崩すということをおっしゃったわけだから、先送りしないで、きちんとやらなかったら、どっから一体お金を取るのかということになりますね。
優遇税制という点では、中小企業・中堅企業の法人税の実質負担率が20%、大企業は10%なんですよ。さまざまな優遇税制があるためにそうなっている。これも崩して、ちゃんと大企業に応分の負担を求めるようにする。
それから大企業については、法人税(率)を下げすぎた。安倍政権のもとで23%まで下げてしまった。これを28%まで戻す。バイデン政権も同じこと言っているんですけれど、日米協調で戻すというようなこともやって、やっぱり取るべきところからちゃんと税金は取って、そして消費税は減税すると。
今、「分配」の議論がよくありますが、一番の問題は、「分配」の中身がゆがんでいるところにある。つまり、富裕層と大企業への「分配」になって、庶民には「分配」が回らない。これをただそうと思ったら、今いったような対策が必要になってくる。
社民党の福島瑞穂党首は、「大企業・富裕層には応分の負担してもらう。所得税の累進課税を元に戻す」と語りました。
子育て支援――非正規雇用と長時間労働をただし、人間らしい働き方への改革で
議論のテーマは、子育て支援に。岸田首相は、「就職したのちも『出世払い』で高等教育の授業料を支払うことができるなど、さまざまな対策を組み合わせる」と、学費負担軽減には触れず、選択的夫婦別姓については「国民レベルで丁寧に議論することも考えないといけない」と背を向けました。
枝野氏は、野党が選択的夫婦別姓の法案を提出してきたことに触れ、「議論を拒否しているのは自民党だ」と批判。子育てにかかわって、正規雇用が原則という労働法制に戻すと述べました。志位氏は次のように表明しました。
志位 安心して子どもを産み、育てることができる社会(をつくる)というのは、いろんな角度からの対策が必要だと思うんですが、やはり若い人の働き方に「人間らしいルール」をつくっていくということが、とても大事なポイントだと思っているんです。
いま若い方の半分は、パート、アルバイト、派遣など非正規雇用で働いていますよね。給料も少ないし、不安定ですよね。そういう状況のもとでは、なかなか安心して子どもを産み、育てるということにならない。
これは、1990年代以来の労働法制の規制緩和という流れがずっとあって、非正規に置き換えてきた。この流れがいまの状況をつくったわけです。この規制緩和の流れをやめて、派遣など非正規社員は、臨時的・一時的な仕事に限っていくという形で、正社員化していくということが一つ大事だと(思います)。
それからもう一点言いますと、長時間労働という問題があると思うんです。日本の労働時間は、ドイツやフランスに比べて年間400~500時間も長い。過労死もひどい。夫婦ともに子育てができる、そして仕事もできるという状況じゃないわけです。
ですから、労働時間については法律で規制をかけて、そして短縮していくという方向にすすむ。
この非正規雇用と長時間労働、この二つの点で、働き方を人間らしくしていく改革が必要だと思います。
れいわ新選組の山本太郎代表は、教育費負担軽減の考えを述べました。
若い世代へ――気候危機打開へともに運動をすすめよう
最後に、今回の選挙で若い世代に訴えたいことを問われ、志位氏は次のように語りました。
志位 若いみなさんと力を合わせて、ぜひやっていきたいと思っている問題としてあるのが、気候危機打開の問題です。
2030年までに、10年比で、地球全体でCO2(二酸化炭素)を45%減らしませんと、(気温が産業革命前に比べて)1・5度以上増えてしまって、大変なことになる。
2030年といいますと、あと9年しかない。ですから、日本がどうするか問われているわけですが、私たちは2030年までに(二酸化炭素を)60%カットする。そして、省エネと再生可能エネルギーでまかなっていく。
こういう社会の大改造を提案しているのですけれど、ぜひ、9年で、若い方の未来が大きく左右されるような危機ですから、ぜひ危機感を共有して、緊急の行動に立ち上がろう、と。世界でもグレタ(・トゥンベリ)さんをはじめ、そういう運動が起こっています。ぜひ日本の若いみなさんも一緒に運動をやろうと呼びかけたいと思います。