2021年10月14日(木)
核禁条約歓迎相次ぐ
締約国会議成功よびかけ
国連総会第1委
【ワシントン=遠藤誠二】ニューヨークの国連本部で4~12日に行われた第76回国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障問題)一般討論では、今年1月の核兵器禁止条約発効を歓迎し、来年3月にオーストリア・ウィーンで開かれる同条約第1回締約国会議の成功をよびかける発言が相次ぎました。
中満泉・軍縮担当上級代表は、保有国による核兵器開発・増強などで核兵器の脅威は増加の一途をたどっていると指摘し、「この針路を逆転させなければいけない」と訴えました。
核兵器禁止条約について中満氏は、「核兵器のない世界と多国間の軍縮にむけた明確な取り組みだ」として発効を歓迎。「国連事務総長は、締約国会議を支援する任務を献身的に遂行していく」と述べました。
締約国会議議長を務めるオーストリアのクメント外務省軍縮局長は、「核戦争の危険を取り除くためには核兵器廃絶の道しかない」「世界の国家の多数派は、核兵器禁止条約を採決することによって核抑止力を拒絶した」と主張。3月の締結国会議へは、「同条約参加にむけてすべての国家を招待する。とても楽しみにしている」と語りました。
タイのプロングトゥーラ国連代表部副代表は、1月に発効した核兵器禁止条約は「核兵器を完全に違法化する初めての国際法だ」と指摘。「われわれは条約の文言の履行について焦点を当てるべきだ」「締約国会議を支持する」と語りました。
各国代表は、来年1月の核不拡散条約(NPT)再検討会議について言及。スウェーデンのエネストロム大使は「われわれは、過去の合意事項が引き続き有効だと再確認するだけでなく、NPTの3本柱(核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用)のすべての履行において前進しなければならない」と述べ、保有国に課せられた核軍縮交渉の責務が果たされることをよびかけました。
8日にはNGOも発言。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の代表は、核兵器禁止条約は、「地球規模の連帯と、複雑な課題に取り組むためにともに行動できる能力を世界に証明するものだ」と強調。多くの国が3月の締約国会議に参加することを望むと述べました。