2021年10月6日(水)
4つのチェンジで希望ある日本を
“自助”から国の責任に
ケアを支える政治へ――「医療・公衆衛生」の再生・強化を
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日本共産党が9月22日に発表した新経済提言「コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を」は、弱肉強食と自己責任押し付けの新自由主義を克服する道筋を力強く示しました。次の総選挙で日本共産党を大きく躍進させ、市民と野党の共闘による政権交代の実現を迫ることが、命と暮らしを何よりも大切にする政治へ切り替える第一歩となります。(佐藤高志)
新型コロナの第5波で、入院病床・宿泊療養施設が不足し、「自宅療養者」が約13万5千人を超えました(9月1日)。自宅療養などで亡くなった人は8月の1カ月間で250人にのぼるなど、“救える命すら救えない事態”が生まれました。
全日本民主医療機関連合会(民医連)の岸本啓介事務局長は「第5波では、感染爆発で感染者が急増し、保健所が行う陽性者のフォロー、濃厚接触者の特定と指導なども完全に破綻している」「労働協約や労基法も守られることなく医療従事者に過重労働を強いることで日々を対処している深刻な状況でした」と語ります。
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自公の“人災”
重大なのは、コロナ禍で起こった「医療崩壊」が“自然災害”ではなく、自公政権のもとで保健所、感染症病床の削減が進められた結果引き起こされた“人災”だということです。
自公政権は、“医者が増えると医療費が膨張する”として、医師数の抑制、病床削減、病院の統廃合を長期間、系統的に続けてきました。その結果、日本の医師数は人口1000人当たり2・4人と経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中32位に。病院数は1990年のピーク時から1796も減少し、感染症病床は半分程度に減らされています。
自公政権は、公衆衛生の要となる保健所も「行革」の対象とし、全国の保健所を852カ所(1992年度)から469カ所(2020年度)へと半分に減らしました。
しかも、自公政権は公立・公的病院の削減・統廃合を進めようとしています。
政府は、高度急性期病床・急性期病床を20万床減らすことを目標に、全国の400以上もの公立・公的病院をリストアップして削減・統廃合を推進。そのために消費税増税分を財源にした「病床削減補助金」までつくっています。
日本共産党は国会でも「自宅療養で亡くなる方が相次ぐ中、なぜ病床削減か。しかも消費税で」(高橋千鶴子議員、2月8日の衆院予算委員会)と追及。病床削減は中止し、余裕ある医療提供体制の確保に全力を尽くすよう求めました。
菅政権が強行した75歳以上の医療費窓口負担の来年10月からの値上げについても「受診抑制を引き起こし、健康悪化をもたらす負担増に突き進むのは絶対に許されない」(宮本徹議員、5月7日の衆院厚生労働委員会)として反対を貫きました。
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社会的な力を
医療崩壊と保健所の機能まひを再び起こしてはならない―。これはコロナ危機の痛苦の経験を踏まえた政治の重い責任です。
日本共産党は、医療、介護、保育、障害者福祉など、ケアを支える政治に転換をめざします。また、長期にわたって壊されてきた医療と公衆衛生を立て直すには、中長期の展望をもって戦略的に基盤を強化していくことが必要だとして、「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」を提案しています。(別項)
自公政権のもとでは、コロナ対応も個人や各自治体まかせにする姿勢が目立ちます。しかし、コロナを封じ込めるには、個人の努力だけでなく、社会的な力で抑え込む必要があります。そのためには、医療、公衆衛生を“自助”にまかせるのではなく、国が責任を持って取り組むことが必要です。
民医連の岸本氏は「コロナ対応で、感染症病床、ICU(集中治療室)2倍化などはきわめて当然な提案です。ただ、箱ものや病床を増やしただけでは駄目で、医師・看護師の人材確保が必要。共産党が、医師削減計画を中止し、『臨時増員措置』の継続を打ち出し、看護師の労働条件改善などを打ち出しているのも重要です」と話します。
岸本氏は「医療はゆとりがあって、はじめて十分な医療ができる。ぎりぎりの病床や人員で医療を行うのではなく、診療報酬を見直し、余裕をもって医療に当たれるようにしてほしい」と「新経済提言」の実現への期待を述べました。
共産党の「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」
○感染症病床、救急・救命体制への国の予算を2倍にするとともに、ICU病床への支援を新設し、病床を2倍にします。
○公立・公的病院の削減・統廃合を中止します。
○医師の削減計画を中止し、「臨時増員措置」を継続します。
○来年の診療報酬改定で、看護師の配置基準と労働条件の改善、新感染症に対応した診療報酬体系などを抜本的に充実させます。
○保健所予算を2倍にして、保健所数も、職員数も大きく増やします。
○国立感染症研究所・地方衛生研究所の予算を拡充し、研究予算を10倍にします。
○感染症に対応する、政府から独立した科学者の専門機関(感染症科学者会議・仮称)を新たにつくります。