2021年10月6日(水)
核兵器禁止条約歓迎
国連総会第1委一般討論始まる
保有国に廃絶求める
【ワシントン=島田峰隆】ニューヨークの国連本部で開催中の第76回国連総会は、分野別の委員会の議論に移り、軍縮・国際安全保障問題を扱う第1委員会では4日、一般討論が始まりました。初日は主に地域グループの代表が発言。今年1月に核兵器禁止条約が発効したことを歓迎し、核保有国に廃絶に向けた行動を求める声が上がりました。
冒頭に発言した国連の中満泉・軍縮担当上級代表は、核保有国間の関係悪化で核の危険が受け入れがたいほどに大きくなっていると指摘。「すべての核保有国が核弾頭を改良し、場合によっては増やしている」と批判しました。
中満氏は核兵器禁止条約の発効について「核兵器のない世界と多国間の軍縮への明確な取り組み」だと歓迎しました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国を代表したタイは、「核兵器禁止条約は世界の核軍縮に貢献し、既存の核軍縮や不拡散の条約を補完する歴史的合意だ」と指摘。「核兵器の使用や使用の威嚇を防ぐ唯一の道は全面廃絶だ」と述べ、核不拡散条約(NPT)が核保有国に対して義務付けている核軍縮交渉に取り組むよう求めました。
カリブ共同体(カリコム)を代表したトリニダード・トバゴは、核兵器禁止条約を歓迎し、来年の第1回締約国会議を楽しみにしていると表明。「核保有国が言う責任ある行動という陳腐な言葉に、正しい方向に向けた大胆で決定的な行動が伴うことを期待する」と強調しました。
国連加盟国(193カ国)の約3分の2を占める非同盟諸国を代表したインドネシアは、「非同盟諸国は核兵器禁止条約の発効に留意する」と発言。来年予定されているNPT再検討会議で核軍縮達成についての具体的な勧告が行えるように「核保有国が政治的意思を示すことを求める」と述べました。