2021年9月26日(日)
入管は真相隠すな
ビデオ開示求め青年ら行動
名古屋出入国在留管理局の収容施設でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件をめぐって、真相究明と再発防止のために、ウィシュマさんの様子を撮影したビデオを遺族や国会議員に全面開示するよう求めるデモやスタンディング行動が25日、各地でありました。主催は、ウィシュマさん事件の真相究明を求める学生・市民の会。
姉の死の真相知るまで
名古屋
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名古屋駅前の行動には、ウィシュマさんの妹ポールニマさん(27)が駆け付け、多くの報道陣を前にマイクを握りました。ポールニマさんは「姉が亡くなって5カ月。入管から出てきた書類はすべて黒塗りされ、真相は何も分からないまま。開示された映像には、姉の苦しむ姿が映され、とても最後まで見ることができなかった。なぜ姉は死ななければいけなかったのか、真相が分かるまで日本に残ってたたかいたい」と訴えました。
ウィシュマさんの収容中の映像は、遺族に対して一部しか開示されていません。もう一人の妹ワヨミさんは、映像を見た後、体調を崩し24日に帰国しました。
代理人弁護士の指宿昭一弁護士は「映像は代理人も見ることができない。最終報告書は入管を正当化するもので納得できない」と指摘し、「真相を隠し続ける入管を抜本的に変えなければいけない。真相解明のために、力を合わせて映像開示を勝ち取りたい」と訴えました。
学生・市民の会は、真相究明を求める署名を呼びかけようと有志で7月に結成。大学3年の千種朋恵さんは「人種差別、人権侵害を見て見ぬふりはできない。弱者切り捨ての社会を変えるため、署名に協力を」と話しました。
事件うやむやにさせぬ
大阪
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大阪では、当時の施設内のビデオの全面開示を求めるデモが大阪市北区で行われ、学生・市民ら80人が行進しました。
「TRY」(外国人労働者・難民と共に歩む会)の大学1年の女性(19)は「入管の人権侵害を容認したままの社会であってはならない。日本社会の一員として、将来を担う世代として、私は事件をうやむやにさせない。おかしいことにはおかしいと声を上げていく」と話しました。
「Save Immigrants Osaka」(移民・難民の人権を守る有志)の三浦秀章さん(46)は「署名やSNSでの発信、勇気を出して家族や友人に入管の問題を話すこともとても大きな活動。入管法改悪を阻止できたように、僕らの声で社会は変えられる」と訴え。「WITH」(西日本入管センターを考える会)の女性は「日本国憲法を持つこの国の本気度が問われている」と話しました。
ウィシュマさんの妹ワヨミさんから「日本のみなさん、ウィシュマの死に関するすべての責任を入管が取るまで、どうか私たちに心を寄せてください」とメッセージが寄せられました。
声を上げ、投票する責任
東京
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東京では霞が関・日比谷公園に約200人が集まり、出入国在留管理庁や法務省のある一角を行進しました。新型コロナウイルス感染対策として、スローガンなどは叫ばず「サイレント」で実施しました。
参加者は「入管、政府は命をないがしろにするな!」「被収容者は人間です!」などと書かれたプラスターを掲げました。
外国人の姿も多くみられました。
収容施設で2年以上を過ごしたというスリランカ出身の40代男性は現在、仮放免の身。就労は許されず、都道府県境をまたぐ移動も制限されていると話します。ウィシュマさんの事件について「この21世紀に、文明化された日本という国で、とても非文明的なことが行われている。国の評判を下げるような実態を、入管は市民から隠し続けてきた」と憤りました。
外国人支援団体で活動する大学3年生の女性は「これは日本国内で起きていること。投票権のある私たちには声を上げ、行動し、投票する責任がある」と話していました。