2021年9月26日(日)
沖縄戦遺骨土砂使用は「戦没者を冒とく」「新基地建設中止に全力」
ガマフヤーの公開質問に志位委員長回答
|
日本共産党の志位和夫委員長は24日、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立てに沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る県南部の土砂を使用することについて、「自民党・公明党政権は、戦没者を冒とくする土砂の採取計画はただちに撤回するべきだ」との考えを、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の公開質問書への回答文で明らかにしました。
ガマフヤーは17日、南部土砂問題への対応を問う公開質問書を、自民党総裁選候補者と各政党に提出していました。
ガマフヤーは質問書のなかで「ご遺族の元に遺骨の代わりに届いた『御霊石(ごれいせき)』は戦没地の土砂と言われている。その『御霊石』を埋め立てに使うのは、国が先に行った慰霊行為を自ら否定することだ」と主張。遺骨土砂問題は基地建設の賛否ではなく「人道上の問題だ」とし、沖縄戦で亡くなった日本兵は全国から派兵された青年たちだったことから「全国の問題だ」と訴えています。
志位委員長は回答文で、「戦没者の遺骨収集は国の責務です。政府は、戦没者の無念と遺族の心情に寄り添い、遺骨の収集と返還に全力をあげるべき」だと主張。日本共産党が「ガマフヤー」の主張に全面的に賛同し、自公政権に戦没者を冒とくする土砂採取計画を撤回させるとともに、新基地建設中止に全力をあげると誓いました。
沖縄本島南部土砂採取計画に関する公開質問への回答
日本共産党幹部会委員長 志位和夫
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」が17日に提出した公開質問書に対する日本共産党の志位和夫委員長の回答文書(24日付)の全文は次のとおりです。
菅政権が辺野古の埋め立てに使用する土砂を、住民を巻き込んだ凄惨(せいさん)な地上戦の激戦地である沖縄本島南部から採取しようとしていることに、沖縄県民はじめ国民の怒りが大きく広がっています。
にもかかわらず、沖縄本島南部の糸満市の「魂魄の塔」横の熊野鉱山予定地で重機による整地作業が始められているのは、まったく許しがたいことです。
日本共産党は、国会でこの問題についてくりかえし菅首相の認識をただしてきましたが、菅首相は、「沖縄本島南部の鉱山から土砂の調達が行われるとしても、採石業者において御遺骨に配慮した上で土砂の採取が行われるものと承知している」などと、あくまで採取を強行する答弁をおこないました。
「遺骨に配慮した上で土砂を採取する」などといいますが、戦後76年が経過し、風化が進む遺骨が土砂に混じっているかどうかは、目視など通りいっぺんの確認で分かるはずがありません。採石業者は重機で掘り進めるのですから、多くは遺骨に気づかず、丸ごと採取することにならざるをえないでしょう。
自民党・公明党政権は、戦没者を冒とくする土砂の採取計画はただちに撤回するべきです。戦没者の遺骨収集は国の責務です。政府は、戦没者の無念と遺族の心情に寄り添い、遺骨の収集と返還に全力をあげるべきです。
そもそも南部の土砂採掘が問題になったのは、辺野古新基地建設地に超軟弱地盤が見つかり、埋め立てに必要な土砂の量が当初計画の約7倍に増大したことによります。新基地建設の設計変更にともない、土砂の調達先を沖縄県全域に拡大したためです。
沖縄県民は、度重なる選挙と県民投票で、明瞭で圧倒的な、「新基地建設ノー」の審判をくだしてきました。にもかかわらず、自公政権は、それを一顧だにせず、新基地建設を強行してきました。現在おこなわれている自民党総裁選に立候補している4氏とも辺野古新基地建設を推進する現在の政府方針をくりかえすばかりです。
しかし、新基地建設は政治的にも技術的にも完全に破綻していることが、明確になっています。「辺野古が唯一」などという思考停止から脱却して、政府は沖縄の民意に応えて、新基地建設を断念し、普天間基地の閉鎖・撤去に正面から取り組むべきです。
日本共産党は、「ガマフヤー」の主張に全面的に賛同し、自公政権に戦没者を冒とくする土砂採取計画を撤回させるとともに、新基地建設を中止させるために全力をあげます。