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2021年9月23日(木)

前市長への600万円は賄賂

宮古島陸自汚職 贈賄側に有罪判決

那覇地裁

 沖縄県の陸上自衛隊宮古島駐屯地の用地取得に絡む贈収賄事件で、当時宮古島市長だった下地敏彦被告(75)=収賄罪で起訴=に現金600万円を渡したとして贈賄の罪に問われたゴルフ場「千代田カントリークラブ」元社長の下地藤康被告(65)の判決が22日、那覇地裁(大橋弘治裁判長)であり、同被告に懲役1年6月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡しました。

 判決によると同被告は陸自駐屯地の用地として同被告所有のゴルフ場が有力な候補地となっていたことから、前市長に同市への陸自駐屯地受け入れ表明を陳情。それが実現して、国への売却ができたことへの謝礼として2018年5月24日、東京都千代田区の全国町村会館で、現金600万円を前市長に供与しました。

 大橋裁判長は「被告人は自発的・能動的に犯行に及んでいる。賄賂として供与した600万円は多額であり、それ自体、市長の職務の公正を害し、市民の信頼を損なわせるものである」と批判しました。

 被告の代理人は閉廷後、「本人は犯罪の成立を認めており、控訴はしない」と語りました。


解説

「官邸とのパイプ役」前市長

 陸上自衛隊宮古島駐屯地(沖縄県宮古島市)の用地取得をめぐる贈収賄事件で、贈賄側の被告への判決は懲役1年6月の有罪判決となりました。

 3年の執行猶予について裁判長は、「これは無罪放免ではない、有罪に変わりない。きちんとした生活を」と諭しました。この言葉に「はい」と力を込めた被告の態度が印象的でした。

 陸自駐屯地をめぐる贈収賄事件はこれで一件落着ではありません。収賄の疑いで逮捕、起訴されている前市長は600万円の受け取りを認めたものの、「選挙資金だ」と容疑を否認しています。

 さらに、事件の核心があります。「前市長は米軍辺野古新基地建設容認の県内市長でつくる『チーム沖縄』を立ち上げ、その会長だった。“官邸とのパイプ役”を自任する名うての利権政治家だ」というのは地元の元保守系市議。「陸自駐屯地用地をめぐり、前市長は被告の用地を自分たちに譲れと地元大手業者と被告に迫っていた」とも。

 論告求刑の公判で被告側は、前市長が「官邸がらみ」の言葉で被告をどう喝し、「謝礼かつ償い金を渡さなければならない心理においこまれていた」と陳述をしています。

 起訴されている前市長の公判日程はまだ決まっていません。陸自駐屯地をめぐる贈収賄事件の真相究明ははじまったばかりです。(山本眞直)


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