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2021年9月23日(木)

強制送還に違憲判決

東京高裁 入管 裁判受ける権利侵害

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(写真)違憲勝訴判決を受けて会見する弁護士ら=22日、東京都千代田区

 政治的迫害を理由とした難民申請が却下された2人のスリランカ人男性が、処分を不当とする裁判を求めていたのに入管当局に出身国に強制送還されたとして、国に対し各500万円の賠償を求めた裁判の控訴審判決が22日、東京高裁でありました。平田豊裁判長は「憲法32条で保障する裁判を受ける権利を侵害した」として、国に対し、原告2人への各30万円の支払いを命じました。

 原告の訴えを棄却した地裁判決を破棄しました。原告代理人によると、外国人の強制送還をめぐって違憲判決が出たのは初めて。

 判決などによると、男性2人は2014年12月、仮放免更新の定期出頭で東京出入国在留管理局を訪れたところ、その場で、以前から手続きしていた「難民申請の不認定に対する異議申し立て」の棄却を伝えられ、翌日早朝に強制送還されました。

 判決は、2人の異議申し立ての棄却がその40日前までに決まっていたにもかかわらず、入管側が送還の直前まで告知しなかったことについて「男性らが訴訟を起こす前に送還するため、あえて告知を遅らせた」と指摘。「司法審査を受ける機会を実質的に奪った」と認定しました。

 原告代理人の指宿昭一弁護士が示した録画によると、原告は強制送還を告知された直後、「弁護士に会わせて。(帰国すれば)殺される」と泣いて訴えていました。

 同代理人の駒井知会弁護士は会見で、「入管は裁判に訴える時間を与えず強制送還するやり方を繰り返してきた。それに対する明確な違憲判決だ」と述べました。


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