2021年9月15日(水)
ノルウェー 政権交代へ
気候変動対策掲げ野党躍進
核禁条約への対応にも注目
【ベルリン=桑野白馬】12~13日投票で行われたノルウェー総選挙(定数169、任期4年の一院制)では、気候変動対策が最大の争点となるなか、野党の左派、環境政党が大きく議席を伸ばし、右派政権からの交代が確実になりました。ソールバルグ首相の保守党率いる中道右派の与党連合は閣僚が相次ぎ落選するなど大敗しました。
第1党となった中道左派・労働党のストーレ党首は13日夜、党員・支持者を前に「われわれは変革を祝う」と発言。05~13年に連立政権を組んだ、社会主義左翼党、中央党との連立協議に入るものとみられます。
現地メディアによると、開票率99・7%時点で、労働党48(1減)、中央党28(9増)、社会主義左翼党13(2増)。3党合計で89議席と過半数を確保しました。さらに新興左翼政党の「赤党」8(7増)、環境政党の緑の党3(2増)を合わせると100議席に達しました。
人間の活動が地球温暖化の原因と断定した国連の報告書が8月に発表され、選挙戦で気候変動対策への国民の関心が高まりました。ノルウェーは西欧最大の産油国で、石油採掘の是非などエネルギー政策が最大の争点となりました。
労働党は、環境に配慮しつつ、国内で16万人の雇用を支える石油産業に配慮し、石油採掘を続けると公約。一方、社会主義左翼党は石油産業が「再生可能な資源と、気候変動に配慮した産業に置き換えられるべき」としており、連立協議に影響を与えそうです。
北大西洋条約機構(NATO)のメンバーである同国の核兵器禁止条約への姿勢も注目です。労働党は4月の党大会で、「ノルウェーと他のNATO諸国が核兵器禁止条約に署名することを目標とすべき」と決定。社会主義左翼党や中央党も、政府の条約署名に賛同しています。
ノルウェー 人口538・4万人(2020年)。立憲君主制。選挙は比例代表制で、主要政党は候補者などに一定割合以上の両性を含める性別クオータ制を採用。北大西洋条約機構(NATO)の創設時以来のメンバー国である一方、欧州連合(EU)には未加盟。石油・天然ガス産業が主力で、世界有数の海運国。