日本共産党の志位和夫委員長が8日の第3回中央委員会総会で行った討論の結語は次の通りです。
みなさん、お疲れさまでした。幹部会を代表して、討論の結語をおこないます。
総選挙躍進へ――わきたつような決意にみなぎる総会・決起集会に
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総会では37人の同志が発言をしました。全国の視聴は、党内通信とYouTubeのリアルタイムの視聴の合計で、4万4198人となりました。2中総の2倍の規模であります。きょうの視聴の規模自体に、全党の総選挙で必ず勝つぞという全党のみなさんの決意があらわれていると思います。700通の感想文が寄せられました。
総会での討論でも、全国からの感想でも、幹部会報告がきわめて積極的に受け止められました。「さあ選挙だ。何としても躍進を勝ち取ろう」という、わきたつような決意にみなぎる総会・決起集会になったと思います。
多くの総選挙の予定候補者の同志のみなさんからも発言がありましたが、どの同志も素晴らしい必勝の決意に満ちた発言だったと思います。
この3中総・決起集会の目的は、あらゆる活動を「総選挙本番モード」に切り替え、すべての党員と支部が総決起するということにありました。総会と決起集会は、みなさんの奮闘によって、まさにその一大契機となる重要なとりくみになったと言えると思います。
一刻をあらそって、3中総の内容を全党員のものとし、日本共産党の躍進を勝ち取るために、あらゆる活動を一気に加速させようではありませんか。
菅首相の政権投げ出しを契機に情勢の大激動――攻めに攻める構えで打って出る
幹部会報告の第1章、「菅首相の政権投げ出しと総選挙にのぞむ日本共産党の基本姿勢」にかかわって述べます。
一歩大きく追い詰めたことに確信をもって、攻めに攻める構えが大切
討論では、菅首相の政権投げ出しを契機にして、情勢の大激動がおこっていることが語られました。打って出ますと、自公政権への怒りと日本共産党への期待が、どんどん寄せられることが、多くの同志から生き生きと語られました。
東京の田邊都委員長は、中野区で、「なにより、いのち。ぶれずに、つらぬく」の党押し出しポスターの張り出しに歩いたところ、「このお宅で日本共産党のポスターを張らしてくれたら世の中は変わる」と言われていたお宅で、今度は張らせてくれたなど、大きな反響を寄せられたという経験を報告しました。まさに「世の中は変わる」状況が生まれつつあるのではないでしょうか。
菅首相の政権投げ出しというのは、国民の怒りの声で自公政権を一歩大きく追い詰めたということです。一歩追い詰めたことに確信をもって、ここは攻めに攻める構えが何よりも大切であります。相手は、自民党の総裁選で、自らの危機を「表紙」だけ替えて、打開しようと必死です。相手がまきかえしに必死なわけですが、そうであるだけに幹部会報告では、「今それを迎え撃つ攻勢的なたたかい」をやろうと訴えました。発言でも、いま攻勢的に打って出ることの重要性が多く語られました。「迎え撃つ」という攻勢的な構えで、国民の中に打って出ようではありませんか。
この時点での3中総開催――自民総裁選に目もくれず、“先手必勝”の構えを確立する
常任幹部会として、9月8日という時点で、3中総を開催することを決断し、それを幹部会におはかりして開催の手続きを取ったことについて、述べておきたいと思います。常任幹部会として、いよいよ総選挙という状況のもと、どの時点で3中総を構えるかということについて、つっこんで検討いたしました。
その結果は、自民党総裁選は誰になろうと同じことだ、ここは「相手が構えをつくるのを見さだめてから」という受け身の姿勢ではダメだ、大きく一歩追い詰めたのだから、そこに確信をもって、ここは“先手必勝”でわが方の構えを確立し、攻めに攻めようという立場から、この時期に3中総を開催して、総選挙の基本的なたたかいの構え、政治的な訴え、活動方針、これらの諸点をまとめて明らかにし、一大決起を全党に呼びかけようということを決断しました。
この時点で、3中総を開催したということは、わが党は、自民党総裁選挙などというものは誰が総裁になろうと同じであって、そんなものには目もくれない。私たちのやるべきことを、いまこの時期にこそやろうという、その意思表示がこの時期の3中総なのだということをぜひ全党のみなさんに伝えていただいて、頑張りぬこうじゃないかということを訴えたいと思います。
総選挙の歴史的意義――新しい創意と開拓の選挙にしていこう
幹部会報告の第2章、「日本の命運がかかった歴史的選挙――総選挙の意義について」にかかわって述べます。
総選挙の三つの意義――宣伝・対話の訴えの切り出しでも大切に
報告では、総選挙の三つの意義――①国民の命がかかった選挙、②コロナ危機の体験を踏まえ、新しい日本をつくる選挙、③党の歴史で初めて、政権交代、新しい政権の実現に挑戦する選挙――ということを訴えました。
こうした総選挙の歴史的意義の提起は、これから宣伝や対話に踏み出すさいに、国民に話を切り出す時に、ごく短い言葉で今度の選挙はどんなに大切な選挙かを訴えるうえでも大切だと思います。みんなの合言葉にしてたたかいぬきたいと思います。
かつて経験したことのない未知の領域へのチャレンジ
総選挙の歴史的意義という提起は、討論でもたいへん積極的に受け止めていただいたと思います。福岡の内田県委員長は、この提起を歓迎しつつ、「今度の総選挙はこれまで経験したことのない大決戦になる」と発言しました。
私は、その通りだと思います。三つの意義のどれをとっても、今度の総選挙は、私たちが、かつて経験したことのない選挙になります。とくに政権交代と新しい政権への挑戦は、わが党の99年の歴史でも、全く未知の領域へのチャレンジになるわけであります。
もちろん支配勢力の側も、きょうの野党共通政策の合意を一つの契機に、野党が本気で構えだしたことを受けて、構えてくるでしょう。さまざまな攻撃があるでしょう。困難もあるでしょう。同時に、このたたかいは、私たちの党の歴史の中でも、かつて経験したことのない、未知の領域へのチャレンジのたたかいであって、だからこそやりがいがあるたたかいだということを、お互い肝に銘じて頑張りぬきたいと思うのです。
私自身、今度の総選挙は、特別な総選挙だという思いがひしひしといたします。強い緊張感とともに、心が踊る思いがいたしますが、それは多くの中央役員のみなさんも同じではないでしょうか。
かつて経験したことのない総選挙であるだけに、私たちの活動は、政治論戦でも、宣伝戦でも、組織戦でも、これまでの延長線上でやっていくというのではなくて、新しい創意と開拓の選挙にしていこうじゃないかということを訴えたいと思います。
政治論戦の基本――新しい問題も大争点に位置づけた
幹部会報告の第3章、「政治論戦の基本について」にかかわって述べます。
「分かりやすく訴えやすい」という大歓迎の声が寄せられた
幹部会報告では、四つの内容で政治論戦の基本点を明らかにしました。「安倍・菅自公政治の総決算とチェンジを訴えてたたかう」、「コロナから命と暮らしを守り、安心して暮らせる日常をとりもどす」、「自公政治を退場させて、どういう新しい日本をつくるのか――四つの大争点」、「日本共産党の真価を語り、積極的支持者を増やすことを選挙戦の大きな柱に」――こういう基本点を明らかにしました。
討論でも、感想でも、政治論戦の基本の全体が、「分かりやすく訴えやすい」という大歓迎の声がたくさん寄せられているのはうれしいことであります。
「環境」「ジェンダー」を大争点に――党の訴えを新鮮で豊かなものに
とくに、この中で、「どういう新しい日本をつくるのか」について「四つの大争点」を打ち出した。この争点のこの立て方に、新鮮な共感と感動の声が多く寄せられています。「四つの大争点」の構成は、「暮らし」、「環境」、「ジェンダー」、「平和」と立てたわけです。そのどれも新鮮な論戦の切り口を示すものになっていると思います。
その中で、「気候危機打開」と「ジェンダー平等」を大争点に掲げたことが、討論でも全国からの感想でもきわめて積極的に受け止められています。この訴えの内容が、若いみなさんの強い共感をすでに広げているということも、発言のなかで語られました。
どちらの問題も、総選挙でわが党が大争点と位置づけてたたかうのは、今回が初めてのことです。ただ、どちらも、世界の大問題となっており、日本でも大問題になっている問題です。気候危機の問題というのは、世界中で若い世代をはじめとして、その緊急の打開を求める大きなうねりが今起こっています。今ドイツで総選挙をやっていますが、最大争点は気候危機だと伝えられています。また、ジェンダー平等の問題というのは、コロナパンデミックのもとで、日本でもまさに大きな社会の変化のうねりが、今起こっているわけでありますが、世界でもジェンダー平等を求める世界史的なうねりが、今起こっているということは、人類の大きな進歩をあらわす出来事であります。
そういう状況のもとで、「暮らし」、「平和」、この二つの問題とならんで、「環境」、「ジェンダー」、この二つの新しい問題を大争点に位置づけたことは、党の訴えを新鮮で、また豊かなふくらみのあるものにして、これまで私たちの声が届かなかった広大な若者も含めて、多くの人々の心に響く訴えになると確信します。
政治論戦のうえでも、そういう新しい課題を大いに積極的に取り上げて、開拓の選挙にしていくためにお互いに力をつくすことを、訴えたいと思います。
野党共通政策の合意――これを土台に、本気の共闘の態勢をつくるために全力
幹部会報告の第4章、「市民と野党の共闘をどうやって成功させるか」について述べます。
野党共通政策の合意――6年間の共闘の前進が刻まれたもの
きょう、市民連合と野党4党が、野党共通政策で合意したことは、総会でも全党からも大歓迎されています。
この共通政策は、この6年間の共闘の前進が刻まれたものになっています。内容面でも「消費税減税」をはじめ、新しい重要な内容が盛られましたが、文章の表現でも大きな前進がありました。
ここに2019年の参議院選挙のさいの「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」を持ってまいりましたが、ここでは13項目の政策内容を提起したうえで、「上記要望を受け止め、参議院選挙勝利に向けて、ともに全力で闘います」と言って野党各党党首が署名しています。「受け止め」という言葉にあるように、表現上はあいまいさが残るものとなりました。
ところがきょう合意した野党共通政策は、「市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める」として、共通政策の内容を、六つの柱、20の項目で明記したうえで、「上記政策を共有し、その実現に全力を尽くします」と、野党各党党首が署名したわけです。「政策を共有」して、「実現に全力を尽くす」とあるわけです。こうして疑問の余地なく、野党共通政策になったのであります。しかも、「政策を実行する政権の実現をめざすことを求める」という市民連合の要請に、各党党首がこたえて署名をしたということも、新しい質的な踏み込みであります。こうしてみると、2年間で、大きな前進があるわけです。
誠実に、ぶれずに力を尽くす日本共産党の躍進こそ、共闘前進の最大の推進力
ここまで前進させた力はどこにあるかと言えば、もちろん市民連合の皆さんのご尽力は、たいへんに大きなものがありました。他の野党の決断もありました。同時に、全国で日本共産党が、共闘の前進のために、誠実に、ぶれずに、頑張り続けた、その結果がこの共通政策に実ったということが言えると思います。そして何よりも、全国の同志のみなさんが、日本共産党自身の躍進の流れをつくるために力を尽くしてきた、その頑張りが、共闘を推進する力になったと思います。
野党共通政策の合意によって、政策面では野党共闘の共通の旗印が立ったというのが、到達点です。この旗印を土台にして、次のステップは、政権協力、選挙協力についての前向きの合意をつくるための政党間の協議になります。ぜひ早くそこに進みたい。そして本気の共闘の態勢をつくるために、全力をあげていきたいと決意しております。
そして共闘の前進のために、誠実に、ぶれずに力を尽くす日本共産党の躍進こそ、共闘前進の最大の推進力になる。これはこの間の経過でも明らかだろうと思います。ここでもわが党が果たしている役割に、みんなが確信をもって、日本共産党の躍進のために全力をあげようではありませんか。
「総選挙必勝大作戦」を公示日までにやりぬこう
最後に、幹部会報告の第5章、「公示日までに『総選挙必勝大作戦』をやりぬくことを訴える」にかかわって述べます。
討論では「必勝大作戦」を掛け値なしにやりぬく高い決意が次々に語られました。討論をふまえ若干の点を述べます。
到達点の全体に確信をもって、「さあ行こう」という政治指導を
一つは、幹部会報告では、コロナ危機のもと、全党の奮闘でつくった三つの重要な成果――国民の苦難軽減の活動、宣伝・組織活動のこれまでにないとりくみ、東京都議会議員選挙の勝利――これらの成果を深い確信にして、「必勝大作戦」にとりくもうと訴えたわけですが、その重要性が、討論でも語られ、感想でも多く述べられています。
私は、総選挙に向かう現時点の到達点をどう見るかは、たいへん大切だと思います。もちろん、目標に到達していない問題点は、直視しなければなりません。しかしあれも足らないこれも足らない、こういうふうに全体を見るべきではありません。到達点の全体を、うんと前向きにとらえて、「さあ行こう」という政治指導が大事だと思います。
コロナのもとでの活動というのは、たいへんな苦労をともなうものだと思います。しかし全党が、粘り強く、感染対策にも真剣に心を配りながら、頑張りぬいてきた。そこにはわが党ならではの不屈性が発揮されていると考えます。そういう活動の積み重ねがつくった到達点なのです。この到達点をみんなの深い確信にして、「必勝大作戦」の目標総達成に突き進もうではありませんか。
「比例を軸に」を文字通り貫く――さまざまな角度から深められた
討論では、「比例を軸に」を過去のどの選挙にもなかった位置づけで文字通り貫くという幹部会報告の提起が――これは党大会決定の提起であるわけですが――、さまざまな角度から深められました。
討論を聞いて、私が、大事だと感じたのは、「比例を軸に」「比例は共産党」と語ることは難しいことではないということです。これをうんと強調したいと思います。
埼玉の荻原県委員長は、19歳で入党した同志について紹介しました。学生の生活困窮によりそった活動に出会って、この若い同志は、「日本共産党は若者にとことん寄り添ってくれる政党だということを大いに語って支持者を増やしていきたい」、このように述べたということが報告されました。まさにこの若い同志にとっての「比例を軸に」というのは、そういうことだと思います。
北海道の青山道委員長は、「党に対する思い、誇り、ここが好きだ、と語ることは、党員ならば誰でもできる活動だ」と発言しました。その通りだと思います。みんなが自分の党に対する思い、誇りを、自分の言葉で、生きた言葉で語り、比例代表での支持を広げに広げようということを訴えたいと思います。
討論の中で、「比例を軸に」にかかわって、小選挙区候補を擁立しない党組織のなかで、「候補者がいないとなかなか選挙に力が入らない」という声があり、その打開に力を入れているという発言がありました。こうした意見に対しては、私は、ぜひ二つの点を返してほしいと思います。
第一は、比例代表の候補者は、日本共産党自身です。一人一人の党員が候補者です、ということを返していただきたい。「候補者がいない」などということは、全国どこにもないのです。あなた自身が候補者だというふうに返してほしい。
第二は、11の比例ブロックの選挙を、「顔の見える選挙」にしていく努力をさらに強めていきたいと思います。比例の票を増やしたら、こういう政治家が国会に送れる。一人ひとりの比例候補者の魅力を大いに語っていただきたいと思います。日本共産党への一票一票が、それぞれの候補者の勝利に直接結びつくという選挙が、衆院比例ブロックの選挙ですから、その活動も強めたい。この二つの点で、「候補者がいない」という意見を、前向きに打開し、意気高いとりくみにしていただければと思います。
「必勝大作戦」を公示日までにやりぬくことの意義をつかんで
最後に、この「必勝大作戦」を、公示日までにやりぬく意義を重ねて強調しておきたいと思います。公示日までに「必勝大作戦」で提起したような活動をやりぬくということは、これまでやったことのない活動です。
幹部会報告で述べたように、一つは、今日の選挙では、期日前投票で多くの有権者が投票する。ですから公示になったらもう投票が始まるのです。公示日までの活動が、まずこの面で決定的に重要になります。
もう一つは、今回の総選挙は、はじめて本格的な共闘でたたかう総選挙になります。小選挙区で候補者を擁立しない選挙区の場合は、公示に入りますと、宣伝活動などが一定制約されることになります。一方、公示までは、政治活動は自由にできるわけです。そのことも考えたら、公示までに勝負を決するつもりで頑張りぬく必要がある。
公示日までに、「必勝大作戦」で提起したような活動、宣伝・組織の活動をやりきって、躍進の流れをつくってしまおうということは、これまで党としてやったことのない活動ですが、今度の総選挙自体が、かつて経験したことのない新しい未知の領域にチャレンジする開拓選挙ですから、そうした選挙にふさわしく、宣伝・組織活動も、開拓者の精神で挑戦しようではないかということを訴えたいと思います。
3中総決定を「一刻を争って、時間を惜しまず」、全党員、全支部に徹底を
全国の同志のみなさん。この3中総は、歴史的選挙をたたかうにふさわしい歴史的方針を打ち出すものになったと思います。
この方針の全党員、全支部への徹底を、「一刻を争って、時間を惜しまず」の立場で、やりぬきたいと思います。
「一刻を争って」、全党のものにする。総選挙の公示日は文字通りの目前に迫り、いよいよ待ったなしですから、一日一日が宝物の日々となります。「一刻を争って」、全党のものにする努力をはかりましょう。
同時に、「時間を惜しまない」で、徹底する努力をしたいと思います。幹部会報告はだいたい一時間十分ですから、このくらいの時間は惜しまないで、みんなで見ていただく。文章もあす(9月9日)の「しんぶん赤旗」に出ますので、どんどん読了を広げる。「一刻を争って、時間を惜しまず」という立場で、徹底をはかりたい。
そして「必勝大作戦」の内容というのは、今までの活動からまったく異なる活動をやるというわけではありません。活動の内容は、「これまでの活動を一気に加速させよう」「本番モードに切り替えよう」というものです。ですから、走りながら徹底し、とりくみを一気に加速して勝利をつかみとる。この立場で頑張りたい。
このことを最後に訴えまして、結語といたします。ともに頑張りましょう。必ず勝ちましょう。