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2021年9月7日(火)

五輪・パラ感染855人

「密」生み出す 医療に負担 対策費膨張

強行が生んだ問題数々

 東京パラリンピック大会が閉会(5日)しました。五輪・パラリンピックを通して新型コロナウイルスに感染した大会関係者は、850人を超えました。両大会の期間中は全国的にも感染が急激に拡大。感染対策をはじめ多くの問題を残しました。(オリパラ問題取材班)


 大会組織委が5日夜に配布した橋本聖子会長のパラリンピック閉会式のあいさつ文には、「新型コロナウイルス」「感染」の文字はありませんでした。

 組織委が6日までに公表した大会関係者の感染は五輪が547人、パラリンピックは308人に上りました。両大会の合計は855人です。明らかに医療、保健機関に影響を与えたにもかかわらず、橋本会長からそれらの人たちに感謝の言葉はないままです。

市民行動に影響

 大会は「無観客」となりましたが、それでも「密」を生む場面がありました。五輪の開会日には、航空自衛隊の「ブルーインパルス」が曲芸飛行を披露。この日は、夜遅くまでオリンピックスタジアム(国立競技場)周辺に推定で4000~5000人の人出がありました。

 パラリンピックの開会日でも空自は事前に公表したうえでブルーインパルスの飛行を強行。再びオリンピックスタジアム周辺には多くの人が集まりました。

 パラリンピックでは、子どもたちを動員する学校連携観戦を千葉県など一部自治体が強行しました。ところが千葉市の中学校で観戦後に引率教員の感染が確認されました。その後、生徒も感染していることが判明。この一件で千葉県は観戦中止に追い込まれました。

 大会と感染拡大の関係について、専門家たちは「科学的分析は難しい」としつつ、市民の行動に影響を与えたことには間違いないと指摘します。政府分科会の尾身茂会長も国会で、五輪開催が「矛盾したメッセージになった」と述べています。

負担は税金支出

 五輪・パラリンピックともに選手や選手と密に接する関係者は毎日検査しています。これらの費用を含めた新型コロナの感染対策費は莫大(ばくだい)な金額になっています。

 昨年12月に政府、東京都、組織委が追加的経費について合意。新型コロナ対策として960億円が計上されました。内訳は国が560億円、都が400億円です。組織委は負担を免れています。

 財政面でも今後、大きな課題が残っています。昨年12月に公表された大会予算は、総額が1兆6440億円でした。負担は組織委が7210億円、国が2210億円、都が7020億円でした。

 さらに「無観客」となったことで予定されていたチケット収入900億円が消えました。この負担を誰がするのか―。国と都は押し付け合いの様相をみせていますが、いずれにせよ税金からの支出になります。


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