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2021年9月7日(火)

自民総裁選の顔ぶれ

安倍・菅政治に共同責任

 菅義偉首相の政権投げ出しを受け、自民党は総裁選(17日告示、29日投開票)へ向けて党内抗争を始めています。深刻な状況が続く新型コロナウイルス対応はそっちのけ。憲法に基づき野党が求める臨時国会開会にも背を向け続けています。メディアも「次の首相は誰?」と騒ぎ立てていますが、その顔ぶれは、9年間の「安倍・菅政治」を支えてきた共同責任者たちです。破綻した自民党政治の枠内からは、現状を打開する展望は見えてきません。


 菅首相の「退陣」表明後に共同通信が実施(4、5両日)した世論調査で、菅内閣の支持率は30・1%と2012年の政権交代以降の最低を記録しました。「退陣は当然」とした人は56・7%に上りました。

 無為無策の新型コロナ対応や東京五輪の強行で、感染爆発と医療崩壊を招いた一方、国会は開かず国民への説明はしない―。「コロナ失政」、強権・腐敗政治に対する国民の怒りと運動が広がり、菅政権を退陣へと追い詰めました。

 「コロナ失政」による政権投げ出しは、安倍晋三前政権に続き2代連続。行き詰まった「安倍政治の継承」を掲げて首相に就いた菅首相のわずか1年での退陣は、9年にわたる「安倍・菅自公政治」の大破綻を示しています。

 今回立候補が取りざたされる総裁選の顔ぶれは、この「安倍・菅政治」を中心となって支えてきた面々です。

 河野太郎行政改革担当相は、菅首相の側近の一人。新型コロナワクチンを担当し、ワクチン一本やりの菅政権のコロナ対応を支えてきました。7月には、ワクチン供給の大幅減で、自治体や医療機関に大混乱をもたらしました。コロナも国会もそっちのけで権力闘争に明け暮れることなど許されません。安倍内閣では外相と防衛相として悪政の一翼を担いました。

 岸田文雄前政調会長は、12年の第2次安倍政権発足以来、最長の4年8カ月にわたって外相を務め政権を支えました。外相として、15年には憲法違反の安保法制=戦争法強行などを推進してきました。

 高市早苗前総務相は、過去の侵略戦争を正当化する「日本会議国会議員懇談会」の中心メンバーで、安倍前首相の側近の一人。安倍内閣で総務相を務め、放送局が9条改憲反対を繰り返し放送した場合の電波停止の可能性に言及。憲法が保障する「表現の自由」を踏みにじりました。

「安倍・菅政権」一体 明らか

 総裁選に立候補を予定する各氏の言動からも、「安倍・菅政権」と一体であることは明らかです。

 河野氏は、改憲について、集団的自衛権の行使を前提に「自衛隊を憲法上に位置付ける改正には賛成」と主張。安倍内閣の外相時代には、対ロシア外交をめぐって、国会や記者会見で領土問題の質問に答えず、国民に対する説明を一切拒んだこともあります。自身のツイッターに都合の悪い意見を言う人は、発信が見られないようブロック(表示禁止)するなど、菅政権の「説明拒否」「強権」政治と一体の姿勢を示しています。

 岸田氏は、総裁選立候補の会見で、自民党の改憲4項目について「改正をしっかり考えていくべきだ」と表明。外相時代には、核兵器の使用について「(保有国は)少なくとも個別的・集団的自衛権に基づく極限の状況に限定するよう宣言すべきだ」と容認を明言しました。ツイッター(4日)では「コロナ禍は、感染症危機が…経済危機、外交危機にも発展しうる有事対応であることを示した」などとコロナ危機に乗じた有事対応の法整備の必要性を示しました。

 高市氏は、自民党の国会議員の有志でつくる議員連盟「『絆』を紡ぐ会」の共同代表として選択的夫婦別姓への反対を呼びかける書状を42道府県議会の議長あてに出したことを3月に表明。同氏らは、「家族が崩壊する」などとして夫婦別姓制度の導入を阻んできました。

 8月のインターネット番組では、「安倍前総理にもう一度立候補してくださいということを何十回と頼んだ」と述べ、安倍氏から拒否されて立候補を決意したと明かしています。高市氏は安倍前首相と一体の候補です。

 立候補の意向を示した野田聖子幹事長代行は、安倍内閣で総務相を務めました。20年には、性暴力の被害者への相談事業をめぐり、「女性はいくらでもうそをつける」と攻撃した杉田水脈(みお)衆院議員の辞職を求める13万超の署名の受け取りを拒否しました。

 石破茂元幹事長は、13年11月、米軍普天間基地の「県外移設」を公約としてきた沖縄県出身の衆参国会議員5人を党本部に呼んで、公約を撤回させ、辺野古への新基地建設容認へと露骨な圧力をかけたことがあります。


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