2021年8月29日(日)
主張
デルタ株と新学期
「災害級」にふさわしい対応を
コロナ感染「第5波」では感染性がより高いデルタ株が主流になり、子どもの陽性者が急増しています。感染状況が大きく変わる中、「子どもが感染し親が感染することも心配」などの不安が広がっています。日本共産党は、夏休み明けの学校の感染対策について緊急提案を政府に行いました。感染拡大を防ぐ対応が急がれます。
リスクを踏まえて柔軟に
感染しにくいとされていた子どもの感染が顕著です。感染はおとなから子どもにと指摘されていたものが、子どもから親へと感染するパターンが報告されるようになりました。しかも保護者世代はワクチン接種が間に合っていません。各地で医療崩壊が始まり入院できないケースが続出するただ中です。デルタ株は子育て世代にとっても、これまでで最大の脅威といって過言でありません。
学校再開で感染爆発に拍車をかけることは絶対に避けなければなりません。同時に、一斉休校などで子どもの成長に深刻なダメージを与え、不安定雇用のもとで働く多くの保護者を失職に追い込むようなことも防がなければなりません。かつてない事態に、知恵と力を集めて、社会全体で乗り切ることが求められています。
緊急事態宣言の地域などの学校再開は柔軟にすべきです。登校を見合わせたい子どもには、それを可能とし、学びなども支援する。身体的距離を取るため分散登校にする。オンライン授業を活用する―これらを適切に組み合わせることが重要です。必要な子どもが朝から登校できるようにすること、感染状況の異なる高校と小中学校等との区別も大切です。国の方針は、登校見合わせを、家族に基礎疾患がある場合に限るなど柔軟性に欠けています。学習指導要領の弾力化と合わせ転換を求めます。
教室でのエアロゾル感染(空気感染)への注意が必要です。空気を短時間入れ替える常時換気と不織布マスクの着用に大きな効用があります。国の予算で必要な子どもに不織布マスクを支給すべきです。部活動や秋の大会なども真剣な検討が必要です。
陽性者が出た場合、即座に広めのPCR検査を行うことも共産党は提案しました。「給食は15分以内だから濃厚接触者はおらず、検査もしない」では感染拡大を防げないからです。党の提案の直後、政府は「学級等の全ての者を検査対象の候補とする」ことも可能としました。一歩前進です。
ドイツでは広範な検査の一環として児童生徒に週2回、迅速な抗原検査をしています。政府は教員への定期的な検査の検討を始めました。急ぐとともに、子どもも対象にすべきです。国が高校で行うよう配布した迅速な抗原検査キットは、採取に必要な場所も防護具もないなど問題が噴出しています。対応策を示すべきです。
学びとゆとりの保障を
子どもたちは長く我慢を強いられ、不満を募らせています。感染の仕組みを知り、自ら考え納得して行動を変え、部活動や行事でも「これなら可能」と前向きに話し合うことは、この時期こその大切な学びです。それには教職員が討議できるゆとりの保障も重要です。
感染状況が今後も変わることは明らかです。変化を機敏にとらえ、これからの各地の取り組みの教訓も学び合い、対策を進めましょう。