2021年8月27日(金)
50キロ先 搬送も死亡
相次ぐ自宅急変 見えぬ症状
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、病気で倒れてもなかなか入院できなかったり、一人で亡くなったりする事態が相次いでいます。救急搬送で30以上の病院に受け入れを断られたケースもあるなど、深刻な問題となっています。(田中健一)
千葉県市川市の男性(62)は18日、自宅で一人で倒れていました。市川市消防局によると、帰宅した男性の弟が気づき、同日午後9時15分ごろ119番通報をしました。
男性は38・9度の高熱のため、新型コロナウイルス感染が疑われ、30以上の病院から受け入れを断られたといいます。19日午前1時すぎに約50キロ離れた病院が受け入れましたが、死亡が確認されました。同市消防局は、男性がコロナに感染していたかどうかは「不明」としています。
同市消防局は「以前にも病院側の受け入れを断られることはあったが、一度落ち着いていた。しかし8月ごろから再び、受け入れられない救急患者が増えてきた」と言います。
救急搬送された患者の受け入れ先の病院がなかなか見つからない問題は、全国的にも深刻化しています。
総務省消防庁は、医療機関への受け入れ照会が4回以上だったり、現場滞在が30分以上だったりする救急搬送の困難事例を公表しています。今月16~22日では全国52の主要消防本部で、合計3207件と過去3番目に高い水準でした。このうち東京消防庁は1645件と全国の半数を占めます。総務省消防庁救急企画室の担当者は「新型コロナの影響もある」と言います。
救急搬送に至らず、自宅で死亡が確認されることも―。相模原市では24日、新型コロナウイルスに感染していた独り暮らしの50代女性の死亡が確認されました。同市によると、比較的症状が軽いとみて在宅で治療していましたが、症状が急変し、亡くなったといいます。
在宅患者は症状が見えにくいという問題があります。相模原市保健所は「亡くなった患者は、比較的軽度の患者だったが、症状が急変する場合にどうするか課題がある」としています。
共産党が緊急提案
日本共産党の志位和夫委員長は「コロナから命を守るための緊急提案」(19日)で、症状におうじて医療をすべての患者に提供することを提起。「原則自宅療養」の方針を公式に撤回し、臨時の医療施設などを大規模に増設・確保することや、在宅医療を支える体制を抜本的に強化することなどを求めています。