2021年8月20日(金)
主張
MV22部品落下
普天間基地の即時閉鎖が必要
沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に所属する航空機の事故が相次いでいます。12日には、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが飛行中に長さ1メートル超のパネルとフェアリングと呼ばれる覆いの一部を落下させました。一歩間違えば県民の命や財産に関わる重大事故です。海兵隊は事故原因も部品の落下場所も明らかにしないままオスプレイの飛行を続けています。玉城デニー知事は19日、日本政府に抗議文を提出しました。そこで、オスプレイの飛行継続を「言語道断」と強く非難し、度重なる海兵隊機の事故に「激しい怒り」を表明したのは当然です。
沖縄県民の命を軽視
オスプレイの事故は、同機が12日午後9時半ごろ、沖縄県の米海兵隊キャンプ・シュワブ(名護市など)とキャンプ・ハンセン(金武町、宜野座村など)にまたがる「中部訓練場」から普天間基地に戻った際、パネルなどの部品がなくなっていたことで判明したとされます。しかし、県に通報があったのは翌13日の午後5時半すぎで、1日近くたっていました。事故に対する米軍の危機意識の欠如、県民の命を軽視する姿勢の表れにほかなりません。
13日は、普天間基地に隣接する沖縄国際大学(宜野湾市)に米海兵隊のCH53D大型輸送ヘリが墜落した事故からちょうど17年に当たりました。事故は、同基地の危険性を改めて浮き彫りにするものでした。ところが、沖縄の海兵隊部隊を傘下に置く米第3海兵遠征軍は同日午後4時ごろに、日本語の公式ツイッターに、CH53Dの後継機であるCH53E大型輸送ヘリが飛んでいる写真と「皆さま、安全で楽しい連休をお過ごしください!」との文章を投稿し、県民の怒りを買うありさまです。
普天間基地所属機の事故は、オスプレイだけでなく、6月以降立て続けに発生しています。
6月2日に訓練中のUH1Y多用途ヘリが沖縄県うるま市津堅島に不時着し、7月13日にはCH53Eが渡名喜島(同県渡名喜村)沖に鉄製コンテナを落下させました。同月27日には、航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)から普天間基地に向かっていたAH1Z攻撃ヘリが同県串間市に不時着しています。
沖縄国際大学の前津榮健学長は今月13日、海兵隊ヘリ墜落17年に際して声明を発表しました。声明は、普天間基地所属機の一連の事故に加え、騒音の激しいF35B戦闘機など同基地の所属ではない外来機の飛来や、日米間の騒音防止協定を無視した深夜の離着陸の増加などを指摘し、「現状は何ら変わらずむしろ悪化している」と告発しています。
辺野古新基地やめよ
オスプレイは、沖縄国際大学へのヘリ墜落事故後に普天間基地に配備されました。2016年12月には名護市の海岸に墜落する事故を起こし、18年2月にはうるま市の伊計島沖に重さ約13キロのエンジンカバーを落下させています。
デニー知事が日本政府に要請したように、事故原因究明までのオスプレイの飛行中止はもちろん、配備の撤回、普天間基地の速やかな運用停止、閉鎖・返還が何より必要です。同時に、普天間基地の危険性や負担を移し替えるだけの名護市辺野古への新基地建設を断念させることが重要です。