2021年8月17日(火)
パラ入国 感染相次ぐ
事前合宿 自治体も苦慮
東京パラリンピック大会(24日~9月5日)のために各国から選手団の入国が始まっています。来日した選手団から新型コロナウイルスへの感染が複数判明。事前合宿を受け入れた自治体も対応に苦慮しています。(オリパラ問題取材班)
パラリンピックの選手団は3日から来日し始めています。大会には国内選手を含め最大4400人が出場します。内閣官房オリンピック・パラリンピック推進本部によると、15日までに感染が確認されたのは5カ国の6人で、102人が濃厚接触者と判定されました。
6日にはブラジルから126人の選手団が成田空港に到着。空港検疫で1人の陽性が確認されました。
ブラジル選手団の事前合宿を受け入れた浜松市の担当者は言います。
「選手団のうち50人が濃厚接触者候補とされ、国が用意したバスで浜松市に来ました。市の聞き取りで52人が濃厚接触者となり、そのうち1人が新たに陽性と確認されました」
成田から浜松まで約330キロ。濃厚接触者を判断しないまま、バスで長時間かけて移動するというリスクが高い方法をとったのです。
移動法・費用…不透明
新型コロナウイルスの濃厚接触者候補がいるパラリンピック選手団の移動が5時間未満の場合、内閣官房は専用バスなどで移動が可能としています。ただグーグルマップで成田から浜松まで車で移動する時間を計算すると最短で4時間22分程度。これは渋滞や休憩を考慮に入れない時間です。
浜松市の担当者に「5時間未満で到着できるのか?」と聞くと「まあ難しいでしょう。内閣官房が5時間未満と判断したということです」と苦笑します。
五輪では濃厚接触者の確認をしないままウガンダ選手団が大阪府泉佐野市まで約8時間かけてバスで移動。泉佐野市に到着後に1人の陽性が確認され、バス運転手や同乗した市職員が濃厚接触者として隔離されました。
事前合宿地で濃厚接触者となると、東京などの大会会場までの移動は原則的に公共交通機関が使えません。新幹線の1車両を丸ごと借り切るか、バスや航空機をチャーターする必要があります。
9日に来日したパラのメキシコ選手団は、搭乗した航空機の乗客から感染者が確認されました。このため選手団の計14人が濃厚接触者となりました。
うち4人は広島県府中市で事前合宿をしています。府中市の担当者は「21日には会場に移動する選手がいます。どうやって移動するかは相談中です」と言います。
五輪では鹿児島市で事前合宿していた南アフリカの選手団から感染者が出て、多数が濃厚接触者となりました。同市の担当者は「座席が150人分くらいの航空機をチャーターし、19人の選手団を運びました。費用は国で持つよう調整中です」と話しました。