2021年8月15日(日)
終戦記念日にあたって
日本共産党書記局長 小池晃
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一、76回目の終戦記念日にあたり、日本共産党は、日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配の犠牲となった人々への深い哀悼の意を表明するとともに、痛苦の体験をへて国民が手にした憲法9条を守り抜き、平和な日本と世界を築くために全力をあげる決意を新たにします。
一、今年の終戦記念日は新型コロナ感染症の深刻な感染急拡大の中で迎えています。これは菅政権の無為無策と五輪強行によってもたらされた“人災”にほかなりません。それにもかかわらず、菅政権や改憲勢力は自らの大失政を棚に上げ、憲法に「緊急事態条項がないから」などと改憲策動に“コロナ危機”を利用しています。内閣に権限を集中する“独裁体制”をつくる「緊急事態条項」の創設や、憲法9条の改定をめざす、「火事場泥棒」のような改憲策動を絶対に許すことはできません。
一、中国が、東シナ海、南シナ海などで、力ずくで現状を変えようとする覇権主義をエスカレートさせています。これに対して、米バイデン政権は「自由で開かれたインド太平洋」の名で中国に対する軍事同盟と軍事的対応の強化で対抗しています。菅政権は、この米国の戦略に全面的に追随し、日米首脳会談で、日米同盟を「インド太平洋」の全域に拡大することを米国に誓約しました。台湾海峡情勢などをめぐり、安保法制が規定する「存立危機事態」や「重要影響事態」の適用を検討しており、そうなれば、集団的自衛権による武力行使も可能となってしまいます。
軍事対軍事の対立、軍拡競争の悪循環に陥ってはなりません。日本共産党は、米国であれ、中国であれ、どんな国でも、覇権主義の行動に対しては、「国連憲章と国際法を順守せよ」と迫る外交努力を尽くすことを求めます。市民と野党の共闘の原点である、集団的自衛権容認の閣議決定を撤回し、安保法制を廃止して、立憲主義を取り戻すために、多くのみなさんと力を合わせる決意です。
一、終戦記念日を機に閣僚による靖国神社への参拝がつづいていることに、強く抗議します。靖国神社は日本による侵略戦争と植民地支配を美化・正当化する施設です。閣僚がここに参拝や奉納をすることは、日本政府が歴史に学ばず、いまだに侵略戦争に無反省であることをアジアと世界の人びとに示すものにほかなりません。
一、核兵器禁止条約が今年1月に発効し、核兵器は国際法上初めて違法となりました。国民の圧倒的多数が、核兵器禁止条約への署名・批准を求めています。しかし、菅政権は唯一の戦争被爆国の政府でありながら、この期に及んでも「核抑止力」に固執して被爆者・国民の悲願に冷たく背を向け続けています。菅政権を倒し、核兵器禁止条約に参加する政府をつくるため、日本共産党はこの問題でも、市民と野党の共闘をさらに発展させるため全力をあげます。