2021年8月11日(水)
入管報告書 「なぜ仮放免しなかった」
遺族が訴え「ビデオ全部見たい」
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名古屋出入国在留管理局の収容施設でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件をめぐり出入国在留管理庁が公表した最終報告書について、遺族とその弁護団が10日、東京都内で記者会見しました。ウィシュマさんの妹ワヨミさんは「姉の体調が悪かったのに、なぜ仮放免をしなかったのか。姉の死の原因も書かれていないのに、最終報告と言えるのか」と強く批判しました。
会見でワヨミさんは、「以前にも入管施設で亡くなった人がいる。何人死んだら医療の体制は変わるのですか」と指摘。記者の質問に答えて、「真実を知るためには裁判でもなんでもします」と強調しました。
妹のポールニマさんは、収容施設でウィシュマさんの様子を撮っていた2週間分の監視ビデオについて、「入管は遺族に2時間に編集したビデオを見せると言っているが、全部見たい。2週間分全部出してほしい」と強く求めました。
弁護団の指宿(いぶすき)昭一弁護士は、最終報告書が「医療体制の制約」を死亡の原因としていることについて、「体制に問題があったことを認めた」としつつ、「『不備』を『制約』と言い換えるなど、ごまかしを感じる」と指摘。収容者の生命・健康を守れる体制になっていなかったとして、「収容する資格がない」と断じました。
指宿弁護士は、体調不良で摂食ができない状態のウィシュマさんに対し名古屋入管職員が「鼻から牛乳や」と発言した行為は、「ゼノフォビア(外国人嫌悪)であり、免罪することは絶対に許せない」と批判しました。
指宿弁護士は、2月15日にウィシュマさんの仮放免が不許可になった理由について報告書で、「一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国説得する必要あり」としていると指摘。「身体的・精神的な苦痛により意思を変えさせる拷問だ」と批判しました。