2021年8月5日(木)
熱海の土石流災害1カ月
残土規制の法制化を
根本に国の責任
静岡県熱海市で起きた土石流から1カ月が過ぎました。この災害について難波喬司(なんば・たかし)副知事は、「自然要因と不適切な盛り土という行為と、それを見抜けなかった行政要因の三つが重なった」と述べ、事実上、行政の責任を認めています。
また、静岡県の「土採取等規制条例」の規制が不十分として「当面、神奈川県の水準」の「届け出制」を「許可制」に厳格化すると県は表明しています。静岡県、熱海市の行政責任は明らかといえます。
しかし根本には国の責任があります。国土交通省の「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」によると、全国で66万カ所が警戒区域に指定されています。こうした場所を中心に昨年は土石流や地滑りなどが約1300件発生。5年連続で1千件を超えています。
宅地として造成した大規模な盛り土は、全国で5万1306カ所あることも国交省が発表(昨年3月)しました。
2015年3月26日の参院国土交通委員会では、日本共産党の辰巳孝太郎議員(当時)が、建設残土の崩壊事故が多数発生している事実をあげ、「産業廃棄物であれば排出者の責任で適正に処理することが法律で義務づけられているが、建設残土にはルールがない」と指摘。発生者の責任を明確にして、発生から搬出、処理までの流れを管理する仕組みの法制化を求めました。
他方、当時の太田昭宏国交相は法制化に消極的姿勢を示していました。
熱海の土石流災害を教訓に建設残土を規制する法制化が急がれます。
(高瀬康正・日本共産党国民運動委員会)