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2021年7月30日(金)

性暴力被害者ワンストップ支援センター

運営費に国の予算不足 4年間で3億円近くも

本紙請求の資料で判明

表
グラフ

 性暴力被害の相談を受け治療や法的支援につなげる「性暴力被害者ワンストップ支援センター」の運営費と医療費をめぐって、国の財政支援である交付金が2020年度3億3028万円必要だったのに、2億4207万円しか計上されておらず、8821万円も予算不足になっていたことがわかりました。

 支援センターは、各都道府県が運営。本紙が情報公開請求した資料によると、予算不足は、交付金が新設された17年度当初から続いており、20年度までの4年間の総額で3億円近くにのぼります。

 内閣府の調査(昨年3月)によると、相談員・支援員の3人に1人が無償(交通費程度含む)です。予算不足の解消は急務です。

 支援センターの財政を支える「性犯罪・性暴力被害者支援交付金」の要綱では、補助率(運営費の2分の1、医療費の3分の1)を定める一方で上限額(基準額)を設定しています。

 情報公開請求資料によると、必要額(経費に補助率を乗じた額)が、上限額を上回る自治体が続出。18年度は24都府県、19年度は23都府県、20年度20都府県にのぼっています。

 また、必要額が、上限額内に収まっているように見える自治体でも、交付金の対象外の人件費が発生しています。交付金の対象や上限額が実情にあわなくなっており、予算不足は見える以上に深刻です。

 一方、菅内閣は、支援センターの強化策として、国が運営する「コールセンター」の今秋導入を打ち出しています。現在、夜間・休日に運営している21都府県のうち、10県が独自にコールセンターを導入しています。これを国が主導して一元化する方針です。

 支援センターの現場からは、人件費の拡充を求めるとともに、「コールセンターの使い方を間違うと、せっかくのワンストップ的・継続的な支援がぶちっと切れてしまうという逆効果になるのではないか」(政府の男女共同参画会議・女性に対する暴力に関する専門調査会、5月11日)との声があがっています。


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