2021年7月30日(金)
危機感を共有できていない責任は首相にある
根本から姿勢正せ
志位委員長が記者会見
日本共産党の志位和夫委員長は29日、国会内で記者会見し、「東京を中心とした首都圏で、新型コロナの感染急拡大が止まらず、全国に感染拡大が広がる極めて深刻な事態に陥っている」「東京では医療逼迫(ひっぱく)が現実のものとなり、医療崩壊の危険が差し迫ったものになっている」と強調しました。志位氏は「危機感を行政と市民が共有できていないのが、現在の最大の問題」との厚生労働省アドバイザリーボードの評価を引いて、「危機感を共有できていないのはなぜか。あげて責任は首相にある」とのべ、(1)五輪開催を強行し、国民に間違ったメッセージを送り続けている(2)首相が説明責任を果たさず、根拠のない楽観論をふりまいていると厳しく批判。こうした姿勢を根本からたださなければ、打開の道は開けないと訴えました。
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志位氏は、政府分科会の尾身茂会長が28日の衆院内閣委員会で、東京では六つの指標――入院者数、重症者数、高濃度酸素による治療者数、入院調整者数、宿泊療養者数、自宅療養者数の全てで増加しているとして、「医療の逼迫がすでに起き始めている」との判断を示したことに言及。また同日、厚労省のアドバイザリーボードが出した資料でも、「このままの状況が続けば、通常であれば助かる命も助からない状況になることも強く懸念される」との評価を出したことを指摘。また評価資料では、東京都では夜間滞留人口が前回の緊急事態宣言時よりも「緩やかな減少」にとどまり、千葉県では増加、埼玉・神奈川両県では大きな減少がみられず、「東京を中心に当面は感染拡大の継続が見込まれる」という重大な結論を出したと強調しました。
また、同評価が、「危機感を行政と市民が共有できていないのが、現在の最大の問題」としていると指摘。「なぜか。私はあげて菅政権、政府の責任だと強く言いたい」と述べ、次の二つの問題を明らかにしました。
第一は、「五輪開催を強行し、国民に誤ったメッセージを出し続けている」ことです。志位氏は、「菅政権は、オリンピックの開催中止の検討さえせず、“もう始まったことだから”と、あくまでもこの“祭り”を続けるという姿勢だ。ここをあらためずに国民に自粛を要請しても説得力はない」と指摘。「政権が国民に誤ったメッセージを流し続けていることが、『危機感の共有』ができない最大の原因になっている」と強調。「いまからでも、オリンピックは中止し、命を守ることに全ての力を集中すべきだ」と主張しました。
第二は、菅義偉首相が国民への説明責任を果たさず、根拠のない楽観論を振りまいていることです。志位氏は、28日に新規感染者が東京で3000人を超え、全国で9500人を超えた状況のもとで記者会見を求められた菅首相が、「本日、お答えする内容がない」と言い放ったとして、「あぜんとする。許しがたい無責任な姿勢だ」と批判しました。
そのうえで、「この局面で一国の首相に一番求められているのは、リスクコミュニケーションを真剣にやることだ」と指摘。「それは意思さえあればできるはずだ。このままいけば感染が広がる一方だという事実をきちんと伝え、“政府も責任を果たすから、国民のみなさんにも協力をお願いします”と言うことが首相の務めではないか。絶望的なまでにリスクコミュニケーションの意思がない。ここに一番の問題がある」と批判しました。
志位氏は、野党共同の要求として、議院運営委員会などでの閉会中審査に菅首相自身が出席し、「現状の認識と打開の方策について責任をもって説明することを強く求めたい」と述べました。
志位氏は、五輪開催による感染拡大への懸念について雑誌のインタビューで問われた菅首相が、「ワクチン接種者数が極めて順調に増えているから、その懸念は当たらない」と述べたことへの見解を問われ、「ワクチンの接種のいまの到達点は人口比で1回目が38%、2回目はまだ27%だ。急ぐことはもちろん重要だが、どんなに急いでも、今のデルタ株による『第5波』には間に合わない。この現実を直視すべきだ。ワクチン接種と大規模なPCR検査をセットで行い封じ込めをはかる、自粛要請とセットで十分な補償を行う、疲弊する医療機関に対する減収補てんや医療従事者への支援を行う、そしてオリンピックは中止し、コロナ対策に集中する。こうしてこそ国民と危機感を共有できる体制をつくることができる。“ワクチンの接種が順調にいっているから大丈夫だ”という楽観論は許されない」と述べました。
また、「共産党は一貫して五輪開催でコロナ陽性者が増えると警鐘乱打してきたが、実際に感染拡大したことへの受け止めは」と問われた志位氏は、「大変残念だ。私たちが1月から主張してきた五輪中止という提唱に早い段階で真剣に耳を傾けてほしかった」と指摘するとともに、「いまからでもオリンピックは中止し、命を守るためにあらゆる力を注ぐべきだ」と重ねて主張しました。