2021年7月23日(金)
「バブル」内で感染拡大
五輪関係者 感染100人超す
医療関係者は危機感
東京五輪の開会式を前日に控えた22日、新型コロナウイルスに感染した選手やスタッフなど大会関係者が、計104人となったことが分かりました。政府や五輪組織委員会は、選手らを外部と接触させない「バブル方式」で感染対策を徹底するとしてきました。そのバブルの中で感染が広がる深刻な事態に直面しています。(丹田智之)
|
組織委は22日、選手2人を含む大会関係者12人の感染が新たに確認されたと発表しました。選手村などでの検査で陽性となった大会関係者は、1日以降で計87人となりました。すでに選手8人が感染し、競技に出場できなくなることも想定されます。
これに加え、内閣官房によると、合宿地の自治体などが感染を確認した選手やスタッフら関係者は、22日夜に公表された時点で計17人となっています。
東京都は都庁から派遣された医師や保健師ら26人体制の「保健衛生拠点」を選手村の近くに開設。組織委の感染症対策センターと連携して感染者の入院・療養先の調整をしています。今後、病院での治療や宿泊施設などでの療養が必要な大会関係者が増えれば、地域の保健医療体制に影響を与えかねません。
大会関係者を外部と遮断する「バブル方式」は、組織委が定めた行動制限が守られないケースが相次いで判明。組織委などが主張する「安全・安心な大会」の前提となる感染防止対策は破綻(はたん)が明らかになっています。
都内の医療関係者は、五輪開催の強行に危機感を示しています。新型コロナ患者を受け入れている立川相互病院(立川市、民医連加盟)の増子基志(ますこ・もとし)事務長は「感染の急拡大で病床が逼迫(ひっぱく)し、すぐには入院できなくなる事態が迫っている」と「第5波」の現状を危惧しています。
同病院は、五輪の中止を訴える張り紙を窓の外から見えるように掲示しています。増子氏は「医療機関として一人でも多くの患者の命を救いたいと思っているので、五輪の開催は納得できません。今からでも政治の責任で中止を決断してほしい」と述べています。