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2021年7月21日(水)

主張

カジノ法全面施行

賭博に固執する政権の交代を

 菅義偉政権はIR(カジノを中核とする統合型リゾート)実施法を19日から全面施行しました。国民の根強いカジノ反対の声に耳を貸さず、新型コロナ感染症の世界的流行でIR事業の持続可能性が失われているのに、決められたレールの上を進むようにカジノに固執する菅政権の姿勢は無責任のきわみです。

破綻しても「我田引水」

 IRを「日本の成長戦略の目玉」と言ってカジノ解禁を強引に進めた安倍晋三前政権の「継承」をうたって菅首相は登場しました。就任直後から「(IRは)わが国が観光先進国となる上で重要な取り組みである。今後ともIR整備法(カジノ実施法)などに基づき必要な手続きをすすめる」(2020年10月28日、衆院本会議)という姿勢を示しました。

 その後、政府のカジノ基本方針の決定、カジノ管理委員会規則の策定などを推進しました。今年10月からは誘致自治体の国への申請を受け付け、来年の夏以降に上限3カ所とされるカジノ設置自治体決定のスケジュールをすすめています。

 世界的な新型コロナ感染症の大流行はカジノ業界の環境を激変させました。典型的な「3密ビジネス」である巨大カジノに客を詰め込み、それを収益源にIRを回すという事業モデルは完全に時代遅れになっています。

 日本のカジノIRへの進出を狙っていた世界有数のカジノ事業者が、コロナ禍での経営危機から日本撤退を次々決めています。

 こうした状況を検証することなく「すでに法律で決まったことだから」と路線転換できない菅政権は国民にとって極めて有害で、将来に大きな禍根をもたらします。

 カジノ誘致自治体は現在四つに絞られ、最有力は菅首相の選挙区のある横浜市とされています。政権の最高責任者が、利権のかたまりであるカジノを自らの地盤に呼び込むのは「我田引水」としかいいようがありません。

 横浜市ではカジノの是非を問う住民投票実施を求めた市民団体の署名に法定数の3倍を超える19万人余が応じました。直近の世論調査でも市民の7割超がIR誘致反対を表明しています(14日付神奈川新聞)。

 世論の広がりに、8月の横浜市長選で自民党はカジノ推進の現職にまとまれません。菅首相“側近”ともいわれる同市内選出の衆院議員が閣僚を辞して、にわかに「IR取りやめ」をかかげて出馬表明するなど混迷を深めています。首相の足元での、カジノ推進路線の破綻と混乱はもはや覆うべくもありません。

国民の審判で終わりに

 日本のカジノ解禁は、もともと海外の巨大カジノ企業が新たに大きな利権を得ることをねらってすすめてきたものです。国民は当初からカジノに強い不安と懸念を抱き、一貫して反対の声を上げてきました。

 国会では日本共産党、立憲民主党などの野党がカジノ関連法の廃止法案を共同提案しました。カジノ反対は野党の大きな一致点になっています。

 カジノを強権的に進める政権を退陣させる時です。次の総選挙は、多くの不幸と災いをもたらすカジノに、国民の審判で終止符を打つ重要な機会になります。


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