2021年7月15日(木)
北海道新聞記者の逮捕 大学と警察に抗議
JCJ・新聞労連・メディア女性ネット
国立の旭川医科大学(北海道旭川市)で、学長解任問題を取材中の北海道新聞の記者が建造物侵入容疑で大学職員に現行犯逮捕された問題について、日本新聞労働組合連合(吉永磨美委員長)、日本ジャーナリスト会議(JCJ)、メディアで働く女性ネットワークは14日までに相次いで抗議声明などを出しました。
北海道新聞社が7日付朝刊に掲載した社内調査報告によると、逮捕された記者は6月22日、同大の学長解任問題を議論する学長選考会議を取材していました。大学が構内への立ち入り禁止を報道各社に通知する中、同記者には知らされず、上司の指示を受けて校舎内に入り、会議が行われているとみられる部屋のドアの前に立って携帯電話で録音しました。発見した大学職員に取り押さえられ(常人逮捕)、身柄を旭川東署に引き渡されました。記者は24日釈放され、同署が在宅で捜査を続けているとしています。
JCJの声明(9日)では、大学や警察の対応は行き過ぎた取材規制や不必要な身柄拘束で、「取材者に対する一種の脅迫」と指弾しています。「公益目的の取材活動を萎縮させ、市民社会の自由の束縛につながる」とし、大学と警察に「抗議」しています。
新聞労連の声明(12日)は、同新聞社の社内調査報告を、「現場に責任を押し付けるばかりか、自らの責任逃れがにじんでいる」と批判。大学が取材中の記者を現行犯逮捕したのは「行き過ぎ」と指摘しています。「施設管理権」を根拠に記者が公的機関に立ち入れないことが一般化すれば、「取材の自由、報道の自由は形骸化し、犠牲になるのは国民の知る権利だ」と強調しています。
「メディアで働く女性ネットワーク」の声明(6月28日発表)も、「逮捕・身柄拘束は報道の自由に抵触し、取材活動に萎縮効果をもたらしかねない重大な問題をはらむ」と「抗議」しています。