2021年7月9日(金)
成り立たぬ「勝者なき選挙」
共・立とも議席増 市民・野党が政治動かす
「勝者なき都議選」(「読売」6日付社説)「勝者なき選挙」(5日、「朝日デジタル」)―東京都議選(4日投開票)の結果を振り返り各メディアがこう書きたてました。国政・都政の与党である自公両党と都民ファーストが敗北する一方で、それに対抗する日本共産党や野党が前進したことを無視する議論です。
五輪・コロナ・強権への審判
自民党は東京都議選で33議席にとどまり、公明党の23議席とあわせても、目標としていた都議会過半数(64議席)には及びませんでした。自民党の議席は過去最少だった前回の23議席(改選前25)に次ぐ史上2番目に少ない議席にとどまりました。公明党は自党候補の全員当選を果たしたものの、推薦した自民党候補が各地で苦杯をなめました。五輪の開催や都立・公社病院の独立行政法人化賛成など自公と一蓮托生(いちれんたくしょう)の都民ファーストも、改選前45から31議席に激減しました。
選挙結果に示されたのは、コロナ感染拡大のもとでの五輪・パラリンピック開催に固執し、コロナ対策では右往左往・無策ぶりを示し、沖縄の米軍基地建設、学術会議会員の任命拒否問題での強権ぶりなどに対する、都民・国民の審判でした。
共産「3連勝」 立民ほぼ倍増
一方、日本共産党は改選前18を1議席増やし19議席に前進しました。2013年、17年のうえに3回連続の勝利となり、半世紀ぶりの快挙です。立憲民主党は改選前8議席を7議席増やし15議席に前進しました。
日本共産党と立憲民主党は都議選で選挙協力を行い、それぞれの議席を前進させました。
共産の候補者を立民などの野党と市民らが支援した五つの選挙区で激戦を制しました。立民や生活者ネット、無所属の候補者を共産などの野党と市民が支援した八つの選挙区で勝利しました。
都議選の大争点となった五輪問題で、開催に固執する都政与党の自公が大敗し、都ファも大きく議席を減らしたのに対し、五輪の中止や延期を堂々と訴えた日本共産党と立憲民主党などが前進したのが今回の都議選結果です。「勝者なき都議選」などという主張は成り立ちません。(山田英明)