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2021年6月30日(水)

主張

香港国安法1年

中国は人権・自由の弾圧やめよ

 香港国家安全維持法(国安法)が施行されて30日で1年です。この間、香港市民は人権と自由を次々に奪われ、「一国二制度」は形骸化させられました。7月1日は中国共産党創立100年の日です。中国全土で大々的な祝賀キャンペーンが行われています。1日は、英国の植民地だった香港が中国に返還されて24年の日でもありますが、住民の多くが今後の香港の行方に危惧を抱いています。人権と自由を弾圧する国安法は廃止されなければなりません。

社会主義と無縁の抑圧

 国安法によって、中国政府の出先機関である国家安全維持公署が香港に設けられ、中国当局が民主化運動の弾圧に直接乗り出しました。中国への批判は「国家分裂」「政権転覆」「外国・域外勢力との結託」とみなされ禁止されました。香港の地位を定めた香港基本法に記された言論、報道、結社、集会、デモの自由は今や意味をなさないまでに破壊されています。

 国安法違反容疑での逮捕者は100人を超え、同法以外でも「無許可の集会への参加」などの罪で多くの市民が逮捕、収監されています。

 民主化を支持した日刊紙、蘋果(ひんか)日報は停刊に追い込まれ、他のメディアも沈黙を強いられています。民主化運動は解散や活動停止を余儀なくされ、学校には、国家に忠誠を誓わせる「国家安全教育」が義務づけられました。民主化を求める立法会議員は資格を剥奪され、選挙制度も改変されました。当局が「愛国者」と認めない人は立候補すらできません。

 警察を統括して一連の弾圧を指揮した保安局長は香港政府ナンバー2の政務長官に昇格しました。

 国安法は、2019年までに大きく広がった民主化運動を力ずくで抑え込むために制定されました。この年、犯罪容疑者の中国本土移送を可能にする逃亡犯条例案は、100万人を超す市民のデモで撤回に追い込まれ、区議会議員選挙では民主派が圧勝しました。

 当時、中国当局は市民の運動を「動乱」と決めつけ、香港政府が制御できないなら中央政府が直接乗り出すと宣言しました。そして制定されたのが国安法です。

 主権者の声を恐れ、言論による政府批判を犯罪として禁止するなど、社会主義・共産主義と無縁であり、共産党の名に値しません。

 人類が達成した自由と民主主義のあらゆる成果を受け継ぎ、発展させることが科学的社会主義の根本的な立場です。思想・信条の自由、反対政党を含む政治活動の自由は厳格に保障されなければなりません。

「国家の義務」を果たせ

 人権と自由の発展には国によってそれぞれの過程がありますが、「すべての人権および基本的自由を助長し保護することは、政治的、経済的および文化的体制のいかんを問わず、国家の義務」(ウィーン宣言)となっています。国連憲章には侵略行為の防止とともに「人権と基本的自由の尊重」が盛り込まれています。

 国が守るべき人権の内容はこのほか世界人権宣言、国際人権規約にも明文化されています。中国政府はこれらの取り決めに賛成しています。中国は人権侵害への各国の批判を「内政干渉」として拒むのでなく、自ら支持した国際取り決めに沿って行動すべきです。


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