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2021年6月23日(水)

予約とりにくい 接種費用が低い

進まぬワクチン

体制強化 国費投入こそ

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(写真)新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場=東京都内

 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないなか、菅義偉首相が感染対策の「切り札」としているワクチン接種。内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室によると、20日現在で2回目接種率は65歳以上で12・99%、すべての年代ではわずか3・80%にとどまっています。(新井水和)

相談どこへ?

 「ワクチン接種についての相談の問い合わせが殺到しました」―。そう話すのは大正生活と健康を守る会(大阪市大正区)の矢達幸会長です。混乱のピークは脱したものの、いまだに予約の相談のために同会に来る高齢者がいます。

 地域のホールを会場に自治体が実施する集団接種は、予約の受け付けが週1回だけで、開始30分で予約がいっぱいに。ネットで予約することが困難な高齢者は、電話もつながらないため「どこへ相談をしたらいいか分からない」と同会を訪れました。

 「感染予防で外出を控え、多くの高齢者が閉塞(へいそく)感を感じており、接種を待ちわびていました。予約が取れないとパニックになってしまう人もいました」と矢達会長。

 ワクチン接種対応の開業医でも1日数人しか受け付けられない場合や、かかりつけの患者のみが対象など、予約が取りにくい実態があります。

 自衛隊の大規模接種が5月末、同区からバス一本で行ける会場で始まりました。矢達会長は「予約は取りやすくなりましたが、バス一本でも、お年寄りにとっては大変」と指摘。「若い人への接種も始まりますが、地元の医療機関で安心して接種できるようにして」と求めます。

労働の対価を

 新型コロナワクチンの接種に際しては、感染防止や接種後の経過観察、好ましくない症状への対応など、通常の予防接種以上に対策が必要です。しかし医療機関に支払われるワクチン接種費用は、全国統一の単価で1回につき2070円。初診料よりも低くなります。

 「小さな医療機関では実施に踏み切れないか、数を絞らざるを得ない状況です」と全国保険医団体連合会の滝本博史事務局次長は指摘します。

 政府は、接種に対する財政支援を11月末までに延長しました。しかし、診療所が特別な体制でワクチン接種だけに集中したり、医師が大規模接種会場に足を運んだりした場合にのみ補助をする仕組みです。

 滝本事務局次長は「通常の診療と並行してできるよう接種費用を少なくとも初診料と同額の2880円にするなど、労働に見合う対価にするべきです」と強調。保団連は、かかりつけの医療機関や、小中学校区ごとの集団接種など、誰もが身近な場所で接種できるよう、自治体の責任で医療従事者を確保し、国が費用を負担するよう要請しています。


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