2021年6月11日(金)
8月 再び「宣言」水準に
西浦教授試算 五輪開催なしでも
高齢者へのワクチン接種が7月末に完了しても、東京では8月に再び緊急事態宣言を出す水準になる恐れがある―。そんな試算を京都大学の西浦博教授(理論疫学)が、新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織の会議(9日)で示しました。
試算は東京五輪・パラリンピックの開催を前提としていません。会議後の会見で脇田隆字座長(国立感染症研究所長)は、「五輪があると感染が増加に向ける要素となる」と指摘しました。
西浦氏は、7月末までに高齢者が接種を終えた場合でも、東京では「重症患者病床が不足する流行が起こりうる」と分析。高齢者の接種後は中年と壮年の感染が中心となり、これまでより感染規模が大きくなる恐れがあるといいます。現行の措置では、遅くとも8月中に宣言相当の流行となる危険性があるとしています。
インドで確認されたデルタ株の流行についても分析。7月中旬にはデルタ株の感染が半数を超えると予想しています。
同日の会議では、東京で昼夜の人出が4週間連続で増加しており、この状況が続くとリバウンドの可能性があると評価しました。脇田座長は会見で「お盆休み、夏休みで感染は上を向く。さらに五輪があると増加に向ける要素となる」と危機感を表明しました。