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2021年6月3日(木)

五輪感染防止規則集

業務膨大 各国が責任者任命 実効性は

 政府が「安心・安全に実施する」と繰り返す東京五輪・パラリンピック。感染拡大防止策の規則集「プレーブック」が、各国・地域の選手団や報道関係者の行動管理を詳細に定めます。各組織が指名する対策責任者は、多様な事務に責任を負います。いかに順守させ、実効性をどう担保するのか―。(五輪問題取材班)


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(写真)「アスリート、チーム役員」向けの規則集「プレーブック」第2版(部分)

 プレーブックは、4月28日に「アスリート、チーム役員向け」の第2版が公表されました。今月中には最終版の第3版が公表されます。英語版、日本語版とも60ページ弱。細かい字で指示を書き連ねます。

 選手らは出国前に作成する「活動計画書」で日本での訪問先を特定します。提出後の変更は「極めて難しい」といいます。マスクは十分な量を、責任をもって準備します。

 観客席には行けないほか、観光地、レストラン、ジムに行くことも禁止。ハグ、ハイタッチや握手も避け、選手村へのゲストも禁止されています。

 国や文化によって「ルール」に対する受け止めは異なります。

 そのルール順守の「カギとなる役割」を果たすのが、各国・地域の各組織に1人の設置を義務付ける「新型コロナウイルス対策責任者」(CLO)です。

 CLOはチームのメンバーに「プレーブックを順守させる責任を負う」とされます。重責に加え、実際の業務は多岐にわたります。

 選手らが自国出発前に用意する活動計画書などの書類を取りまとめるのはCLO。感染が確認された場合の濃厚接触者を調査するため、日本で接触する予定の相手のリストアップ作業も支援します。

 日本入国後は▽選手のスケジュールに合わせ、毎日の新型コロナ検査を手配する▽検査結果などを選手に連絡する▽陽性疑い者が出れば日本の組織委に連絡し、選手村の診療所で確認検査を受けさせる▽陽性が確認されれば保健当局と協議して隔離期間を決める▽濃厚接触者となる可能性のある選手仲間らに連絡を取り、検査の要否などを伝える―などとされます。

 陽性疑い者が出れば、かなり多忙になるとみられます。

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(写真)国立競技場前に立つ五輪モニュメント=東京都新宿区

質問に答えない組織委

責任者人数 訓練場所・期間は

 東京五輪・パラリンピックで新型コロナウイルス感染対策の中心的役割を担うとされるCLO。

 プレーブック第2版は4月末の公表時点で、このCLOが「間もなく任命される」と記していました。

 その責務については公表時の報道発表文が、「すべての感染防止対策の実行を監視する」「参加者らが詳細な『活動計画書』に従うことを確実にする」などと説明します。

 その上で、任命されたCLOが「大会期間を通じて『カギとなる役割』を担えるよう、広範囲にわたる訓練を受ける」としていました。

 では開幕まで2カ月を切った現時点で、何カ国の何人がCLOに任命されたのか。5月25日に東京2020組織委員会に質問を送りましたが、この点には回答がありませんでした。

 また、広範な業務について「訓練」を実施する主体はどこなのか、訓練の場所や期間はどうなのか。出発前にそれぞれの自国で行うのか、日本入国後に実施するのかも不明です。これらについても質問しましたが、組織委は返答していません。

 具体的な回答があったのは、CLOについて「多様な事務を想定している」「CLO自体は1人だが、サポートする者を各組織側で登録いただく」という点でした。

 組織委広報は現時点で回答のない質問について「担当部署に伝える」と繰り返します。他方で、「開示できないこともある。すべての質問に明確に答えられるわけではない」ともしています。


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