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2021年5月27日(木)

「赤旗」新入局員の党学校

志位委員長 党綱領の全体を縦横に語る(前半)

 「しんぶん赤旗」の新入局員を対象にした党学校が26日、日本共産党本部で開かれ、志位和夫委員長が「党綱領」についての講義を行いました。第28回党大会での綱領一部改定以来、党中央としての綱領全体にわたる講義は初めて。志位氏は、情勢の進展にもとづく新たな理論的整理、解明もとりいれ、戦前の「赤旗(せっき)」のコピーなど豊富な資料を用いて、党綱領の全体像を縦横に語りました。


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(写真)講義をする志位和夫委員長=26日、党本部

綱領はなぜ戦前から

 第1章についての講義で志位氏は、「なぜ党の綱領が戦前から始まるかについて話したい」と切り出しました。

 志位氏は「ここには日本共産党の立党の原点があります」として、宮本顕治元議長など、天皇中心の暗黒の専制政治に正面から立ち向かい、国民主権と反戦平和の旗、人間解放と社会主義・共産主義の旗を掲げてたたかい続けた党員らのたたかいを紹介。弾圧によってたびたび発行を中断させられながら輝かしい論陣を歴史に残した戦前の「赤旗」のたたかいにもふれ、「こういう先輩の苦闘のうえに、現在の党と『しんぶん赤旗』が築かれていることを若い皆さんにお伝えしておきたい」と語りました。

 次に志位氏が強調したのは、今日の日本の政治・社会の後進性の多くが戦前に根を持っているということです。

 「戦後の日本の支配勢力の中枢には、侵略戦争を推進した勢力が、自らの行動への無反省のまま居座った。そのことが、今日にいたる日本の政治と社会に、世界に類のない異常なゆがみをもたらすことになった」。志位氏はこう指摘し、その例として、(1)過去の侵略戦争と植民地支配への反省の欠如(2)「ジェンダー不平等・日本」の根の一つは戦前にある(3)入管法の非人道性の背景にある戦前の入管制度―を挙げました。

 この中で、日本のジェンダー不平等について、女性差別の構造が国家体制として押し付けられてきた歴史をひもとき解明。戦前の「赤旗」婦人欄の記事などを取り上げ、女性の政治的差別だけでなく、「家制度」などによる差別を告発し、差別に反対してきた日本共産党のたたかいを紹介しました。

 戦前の日本共産党のたたかいには、侵略戦争反対とともに、植民地支配からの解放をもとめるたたかいが記録されているとし、「日本共産党のたたかいは、苦難に満ちたものでしたが、その正しさは歴史によって試され、歴史が決着をつけたものとなっています」と強調しました。

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(写真)志位和夫委員長の講義を聞く受講者=26日、党本部

異常な国家的対米従属

 第2章について志位氏は、現在の日本社会の特質を、(1)きわめて異常な国家的な対米従属の状態(2)「ルールなき資本主義」(3)対米従属下での日本独占資本主義と日本政府の対外活動の問題―の三つの角度から綱領にそくして語りました。

 異常な国家的な対米従属の状態について、▽米軍基地の異常(米兵数の増加、「殴り込み」部隊、異常な特権)▽あらゆる分野における外交的従属などの角度から解明しました。

 この中で、日本政府が、米国の戦争に対して「絶対いいなり」ともいえる態度をとり続けていることを強調。安倍晋三前首相が志位氏との論戦で示した異常な外交従属ぶりを告発しました。

 なぜ日本はこんなにも米国いいなりなのか―。志位氏はその要素として、(1)占領下での「間接統治」の経験が「米国絶対のDNA」を日本の支配層にすりこんだ(2)軍事占領が条約による従属体制になし崩し的に引き継がれた(3)支配勢力の世代が変わることで従属体制を従属と感じない感覚まひ―を列挙。「日米安保条約の廃棄をめざすたたかいは、こうした従属国家の根本をただすたたかいです」と強調しました。

 続いて志位氏は、雇用、ジェンダー平等、社会保障、中小企業、食料、環境、教育などで、最新のデータを踏まえ日本と主要な欧州各国との状況を比較。あらゆる分野で日本が大きく立ち遅れた「ルールなき資本主義」の実態を浮き彫りにするとともに、大企業の横暴勝手が野放しになっている実態を丁寧に明らかにしました。

ルールなき資本主義

 「ルールなき資本主義」はいわば「二重構造」のゆがみの結果であるとして、第一に、その土台には、雇用におけるルールに象徴的にみられるように、日本における歴史的な立ち遅れがあると強調。第二に、社会保障や雇用、地方自治などあらゆる分野に持ち込まれた新自由主義の政策が、もともと弱かったルールをさらに壊していったと指摘し、新自由主義的政策の破綻がいよいよ明らかになったのが、新型コロナ危機だと語りました。

 さらに、エネルギー・食料支配や金融支配、「年次改革要望書」や環太平洋連携協定(TPP)交渉など、米国の対日経済支配の歴史を振り返り、「これらは、異常な植民地的従属関係というほかありません。それは、日本経済の自主的発展を阻害し、さまざまなゆがみ、矛盾を深刻にしています」と強調しました。

 綱領は、第2章の最後に、対米従属下での日本独占資本主義と日本政府の対外活動の問題点について述べています。

 志位氏は綱領第2章の締めくくりの言葉を紹介し、「政治の表面ではさまざまな逆行や複雑さがあるが、情勢を根底から捉えるならば、解決できない矛盾の深まりは避けられない。未来は私たちの側にあることを、常に大局的につかんで前進していきたい」と語りました。

現綱領の世界論の特徴

 第3章について志位氏は、「現綱領の世界論の特徴は、“20世紀の人類史の巨大な変化の分析にたって、21世紀の発展的展望を捉える”という立場を、すっきりと徹底的に貫くものとなっている」と強調。2004年、20年の綱領(一部)改定での、「帝国主義」と「反帝国主義」の「二つの陣営論」の全面的清算にいたる経過を振り返り、「一連の改定によって、『人民のたたかいが歴史をつくる』というわが党がよって立つ世界観―科学的社会主義、史的唯物論の立場がより明確につらぬかれることになりました」と力を込めました。

 綱領は、20世紀におこった人類史の巨大な変化として、(1)植民地体制の崩壊(2)国民主権の民主主義および人権の発展(3)平和の国際秩序の三つの角度から叙述しています。

 志位氏は「三つの変化は並列のものではありません。なかでも最大の変化は、植民地体制の崩壊によって100を超える国々が新たに政治的独立を勝ち取り主権国家になったことにありました」と強調しました。その変化が、世界の民主主義と人権の流れの豊かな発展をもたらしたこと、世界の力関係を大きく変え、国連憲章に基づく平和の国際秩序を発展させる上でも巨大な力を発揮したこと―を具体的に明らかにしました。

 また、中国に対する綱領上の規定の見直しについて言及。中国の人権侵害、覇権主義などの問題を批判する際に貫いてきた日本共産党の基本姿勢―国際法に基づく冷静な論理によって問題を明らかにする―について、自ら中国と向き合ってきた体験を踏まえて丁寧に語りました。

 その上で、国際社会が中国にどう向き合うかの要はここにあると指摘。「日本共産党が、冷静に、動かない事実、国際法に基づいて、公然とした批判を行うことは、中国の覇権主義や人権侵害への痛手となっている。国際的にも大きな意義があり、世界の平和と進歩への貢献となっています」と強調しました。

 21世紀の新しい世界をどう捉えるか―。志位氏は、20年の改定綱領が、21世紀の世界の発展的な展望を二つの角度からありのままに捉えるという論の整理を行ったと強調しました。このうち第一は、「世界の構造変化」が、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめているという角度です。

 志位氏は、核不拡散条約(NPT)再検討会議などでの新興国、途上国の奮闘ぶりを紹介し、「国際政治の主役の交代」について実感を込めて語りました。

 21世紀に起こった変化として、核兵器禁止条約をめぐる国際社会の生きいきとした動きを紹介。東南アジア諸国連合(ASEAN)での平和の地域共同体の意義を強調しました。

 また、国際的な人権保障の20世紀から21世紀への豊かな発展に言及。とりわけジェンダー平等を求める国際的潮流の発展を紹介しました。この中で志位氏は、綱領に規定した「ジェンダー平等」の旗について、「国内外の長いたたかいと人類史の進歩を踏まえ、党としてこの未来ある流れに学んだ結果です」と強調しました。


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