2021年5月19日(水)
入管法改定案廃案へ
反人権的制度に批判集中
自民党の二階俊博幹事長は18日、国会内で立憲民主党の福山哲郎幹事長と会談し、衆院法務委員会で審議中の入管法改定案について、今国会成立を断念する方針を表明しました。事実上の廃案となります。世論と野党共闘による大きな勝利です。
同改定案をめぐって野党は、名古屋出入国在留管理局の収容中に起きたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件の真相解明を強く要求。「ウィシュマさんは、収容するかどうかをすべて入管の裁量で決められている現行の全件収容主義の犠牲者だ」(日本共産党の藤野保史議員)と真相解明は法案審議の前提と迫ってきました。
日本共産党、立憲民主党、国民民主党の3野党国対委員長は同日、ウィシュマさんの収容中の「容態観察」のビデオ開示を求めるとともに、採決を強行しようとした義家弘介衆院法務委員長に対する解任決議案をつきつけて、共同してたたかう方針を確認。こうしたなかで、自民党の森山裕国対委員長が「これ以上の審議は進めない」と野党側に伝え、野党は法務委員長解任決議案を取り下げました。
衆院法務委員会の野党理事らが記者会見し、立憲民主党の階猛議員は「野党が一丸となって最善の結果となった。ウィシュマさんの真相解明はまだ道半ば。ビデオの開示、最終報告書の早期公表に引き続き取り組む」と表明。藤野氏は「廃案を求めてたたかってきた世論と野党共闘の大きな勝利だ。同時にウィシュマさんの死亡事件の真相解明、現行の入管法の問題は残っている。本当の意味での共生社会に向けて外国人の人権が尊重される社会を、これを契機につくっていきたい」と述べました。